2011 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア品質管理機構を標的とする食品成分の新機能探索
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23658118
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河合 慶親 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50380027)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | オートファジー / ミトコンドリア / 食品因子 / ポリフェノール / フラボノイド |
Research Abstract |
様々な疾病や老化の過程に関与することが近年示唆されているミトコンドリアの品質管理機構「マイトファジー」(ミトコンドリア選択的オートファジー)を作用点とする食品成分を探索し、その作用機構を検討することを目的として、今年度は培養細胞(HeLa)を用いたオートファジー評価系の検討を行った。まず、オートファジーマーカーとして一般的に知られるLC3やp62などのタンパク質について検討を行ったところ、ウェスタンブロット法により培養細胞抽出液からこれらのマーカーを評価することが可能となった。また、LC3やミトコンドリア移行シグナルを導入したGFP融合タンパク質発現ベクター(GFP-LC3, GFP-mit)を用いた過剰発現系の条件検討を行い、細胞内オートファジーの誘導や、ミトコンドリアの量・質を蛍光顕微鏡など蛍光レベルで評価することが可能となった。本年度は、p62タンパク質を指標とした食品成分のスクリーニングを試みたところ、ポリフェノール化合物であるフラボノイド群にオートファジー誘導活性が認められ、中でもルテオリンが最も有力なオートファジー誘導成分であることが示された。その作用機構の検討から、ルテオリンはAkt阻害を介してmTOR複合体形成を阻害することでオートファジーを誘導することが示唆された。一方で、mTORの阻害はオートファジー活性全体を誘導するため、マイトファジー選択的な誘導ではないことが示唆された。現在、GFP-LC3あるいはGFP-mit安定発現細胞株の構築を行い、96穴プレートでの蛍光検出によるマイトファジー選択的な誘導物質のスクリーニング系の構築を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度においては一般的なオートファジー指標であるp62を用いたポリフェノール化合物のスクリーニングを実施することができ、ルテオリンをはじめとする有効物質についてはその作用機構の検討も行うことが出来た点は順調な進展状況であった。一方で、マイトファジー選択的な食品成分のスクリーニング系の構築に必要な、GFP-LC3あるいはGFP-mitの安定発現株の樹立が予定よりも遅れたため、マイトファジー選択的なスクリーニングに着手することが出来なかった。この点に関しては、現在安定発現株を取得中であるので、平成24年度には得られた細胞株を用いたスクリーニングが開始できるものと予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)マイトファジー誘導物質によるミトコンドリア機能への影響マイトファジーは傷害されたミトコンドリアの分解を担い細胞内を健全なミトコンドリア状態に保つ上で重要である。そこで、マイトファジー促進性物質の有効性を評価するために、スクリーニングから選抜された物質について、ミトコンドリア機能の評価を行いその有効性を検討する。ミトコンドリア特異的活性酸素プローブであるMitoSoxやミトコンドリア膜電位プローブ(JC-1など)を用いた蛍光定量によってミトコンドリア機能を評価する。(2)食品成分の細胞内局在性の検討ミトコンドリア外膜特異的磁気ビーズを用いて食品成分を投与した細胞から高純度のミトコンドリアを単離し、ミトコンドリアへの成分の蓄積性を直接分析する。選抜されたマイトファジー促進性候補物質について、ミトコンドリアへの直接分布が必須な分子機構かどうか評価し、その作用機構を検討する。(3)動物レベルでのマイトファジー評価本研究で選抜されたマイトファジー促進性物質について、マウスを用いた個体レベルの評価を行うことを本研究の最終目標とする。選抜された候補物質についての体内動態・存在形態を理解すると同時に、各組織(血球、肝臓、腎臓、筋肉、脳など代謝や酸素消費に重要な組織)におけるオートファジーレベルの測定と組織から単離したミトコンドリアの機能評価を行うことで、食品成分によるマイトファジー促進によるミトコンドリア品質管理の意義を明確にする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
<物品費> 機器等50万円を超えるものについては購入予定は無い。また、23年度に安定細胞株の樹立に至らなかったため、購入を予定していた試薬類などに対する研究費は24年度に使用するものとする。<旅費> 23年度と同様に、国内の共同研究者・関連分野の研究者との研究打合せを積極的に行うとともに、関連学会には定期的に参加し、常に最新の研究動向の把握を行うとともに、最新の研究成果を国内外に積極的に公表し活発な議論を行うことで、より円滑な課題遂行を図る。このような研究活動の円滑な遂行のための旅費が必要である。<謝金> 実験補助を雇用し、より円滑な課題の遂行を図るために必要な経費である。<その他> 本申請研究で得られた成果について速やかに論文化を試みるための論文投稿・掲載料などが必要である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Effect of quercetin and glucuronide metabolites on the monoamine oxidase-A reaction in mouse brain mitochondria2011
Author(s)
Yoshino, S., Hara, A., Sakakibara, H., Kawabata, K., Tokumura, A., Ishisaka, A., Kawai, Y., and Terao, J.
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Journal Title
Nutrition
Volume: 27
Pages: 847-852
Peer Reviewed
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[Journal Article] Pharmacology in health food: metabolism of quercetin in vivo and its protective effect against arteriosclerosis2011
Author(s)
Ishizawa, K., Yoshizumi, M., Kawai, Y., Terao, J., Kihira, Y., Ikeda, Y., Tomita, S., Minakuchi, K., Tsuchiya, K., and Tamaki, T.
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Journal Title
Journal of Pharmacological Sciences
Volume: 115
Pages: 466-470
Peer Reviewed
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[Journal Article] Accumulation of orally administered quercetin in brain tissue and its antioxidative effects in rats.2011
Author(s)
Ishisaka, A., Ichikawa, S., Sakakibara, H., Piskula, M.K., Nakamura, T., Kato, Y., Ito, M., Miyamoto, K., Tsuji, A., Kawai, Y., and Terao, J.
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Journal Title
Free Radical Biology and Medicine
Volume: 51
Pages: 1329-1336
Peer Reviewed
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[Journal Article] Benzene Metabolite, 1,2,4-benzenetriol, induces halogenated DNA and tyrosines representing halogenative stress in human myeloid cell line HL-60.2011
Author(s)
Nishikawa, T., Miyahara, E., Horiuchi, M., Izumo, K., Okamoto, Y., Kawai, Y., Kawano, Y., Takeuchi, T.
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Journal Title
Environmental Health Perspectives
Volume: 120
Pages: 62-67
Peer Reviewed
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