2012 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア品質管理機構を標的とする食品成分の新機能探索
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23658118
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河合 慶親 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50380027)
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Keywords | ミトコンドリア / オートファジー / 食品因子 / フラボノイド |
Research Abstract |
様々な疾病や老化の過程に関与することが近年示唆されているミトコンドリアの品質管理機構「マイトファジー」(ミトコンドリア選択的オートファジー)を作用点とする食品成分を探索し、その作用機構を検討することを目的として、24年度では昨年度に引き続き培養細胞(HeLa)を用いたオートファジー評価系の検討と作用機構の解析を試みた。昨年度は、LC3やp62などのタンパク質についてウェスタンブロット法により培養細胞抽出液からこれらのマーカーを評価していたが、多検体同時評価が困難であったため、24年度ではイムノスロットブロット(ISB)法を応用し、48検体のp62発現を一斉に評価することが可能となった。本方法を用いてポリフェノール化合物47種類のオートファジー誘導活性評価を行ったところ、昨年度に活性物質として見出したルテオリンに加えて、その細胞内代謝物でもある3'-メチル化ルテオリンがより強力なオートファジー誘導活性を有することが明らかとなった。これらルテオリン関連化合物の作用機構を検討するためのケミカルプローブとしてケルセチンを出発としたビオチン化フラボノイド誘導体を化学合成し、これをプルダウンアッセイに応用することで細胞内相互作用タンパク質の評価が可能となった。二次元電気泳動を用いた検討から、本プローブに特異的に作用する細胞内タンパク質の存在が示唆された。一方、フラボノイド関連化合物のin vivoにおけるオートファジー誘導活性を評価するため、マウス臓器におけるp62発現について予備検討を行ったところ、臓器によってフラボノイドの代謝パターンやオートファジー誘導モデルである栄養飢餓に対する応答に差異があることが示唆された。この点を詳細に解析するため、24年度内では活性物質のin vivoにおける評価には至らず、25年度まで研究期間を延長し、さらなる検討を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スクリーニングによって見出した活性物質のin vivoにおけるオートファジー誘導活性を評価するため、マウス各臓器におけるp62発現についてウェスタンブロットによる予備検討を行ったところ、臓器によってオートファジー誘導モデルである栄養飢餓に対するp62発現応答に差異があることが示唆された。また、ルテオリンやケルセチンを投与したマウス臓器・血液中のLC-MS/MS解析により、フラボノイドの代謝パターンに差異が認められることが明らかとなった。マウスを用いたin vivoにおける評価に先立ち、これらの点を詳細に解析する必要が生じたため、本研究課題の研究期間を25年度まで延長申請し、24年度内で行う予定であった活性物質のin vivoにおける評価について、25年度においてさらに検討を行うこととした。以上のような理由から、本研究は24年度で終了する予定であったが、25年度まで延長することとなり、予定の達成度からやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
・動物レベルでのマイトファジー評価 24年度までの検討で選抜されたマイトファジー促進性物質について、マウスを用いた個体レベルの評価を行うことを本研究の最終目標としている。選抜された候補物質についての体内動態・存在形態を理解すると同時に、各組織(血球、肝臓、腎臓、筋肉、脳など代謝や酸素消費に重要な組織)におけるオートファジーレベルの測定と組織から単離したミトコンドリアの機能評価を行うことで、食品成分によるマイトファジー促進によるミトコンドリア品質管理の意義を明確にすることが重要である。24年度までにマウスにおけるオートファジー評価についての予備検討を行ってきたが、ルテオリンの代謝パターンや臓器間におけるp62発現に差異があることが明らかとなった。この点を詳細に解析したのち、25年度(研究期間の延長を申請)においてはルテオリンをはじめとする活性物質によるオートファジー誘導活性をin vivoにおいて評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額についてはすべて、延長した研究期間において実施する実験(主にマウスを用いた動物実験)に必要な物品費に使用する。すなわち、マウスの購入費と得られた試料の性化学的解析に必要な試薬類に対して使用する。
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[Journal Article] Atg7 modulates p53 activity to regulate cell cycle and survival during metabolic stress2012
Author(s)
Lee, I.H., Kawai, Y., Fergusson, M.M., Rovira, I.I., Bishop, A.J., Motoyama, N., Cao, L., and Finkel, T
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Journal Title
Science
Volume: 336
Pages: 225-228
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Monoclonal antibody against protein-bound glutathione: use of glutathione conjugate of acrolein-modified proteins as an immunogen.2012
Author(s)
Furuhata, A., Honda, K., Shibata, T., Chikazawa, M., Kawai, Y., Shibata, N., and Uchida, K.
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Journal Title
Chemical Research in Toxicology
Volume: 25
Pages: 1392-1401
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Quantitative analysis of acrolein-specific adducts generated during lipid peroxidation-modification of proteins in vitro: identification of N(τ)-(3-propanal)histidine as the major adduct.2012
Author(s)
Maeshima, T., Honda, K., Chikazawa, M., Shibata, T., Kawai, Y., Akagawa, M., and Uchida, K.
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Journal Title
Chemical Research in Toxicology
Volume: 25
Pages: 1384-1392
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The ferroimmunomodulatory role of ectopic endometriotic stromal cells in ovarian endometriosis.2012
Author(s)
Kobayashi, H., Yamashita, Y., Iwase, A., Yoshikawa, Y., Yasui, H., Kawai, Y., Uchida, K., Uno, N., Akatsuka, S., Takahashi, T., Kikkawa, F., and Toyokuni, S.
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Journal Title
Fertility and Sterility
Volume: 298
Pages: 415-422
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Effect of quercetin and its glucuronide metabolite upon 6-hydorxydopamine-induced oxidative damage in Neuro-2a cells.2012
Author(s)
Mukai, R., Kawabata, K., Otsuka, S., Ishisaka, A., Kawai, Y., Ji, Z.S., Tsuboi, H., and Terao, J.
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Journal Title
Free Radical Research
Volume: 46
Pages: 1019-1028
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Bioavailability of orally administered water-dispersible hesperetin and its effect on peripheral vasodilatation in human subjects: implication of endothelial functions of plasma conjugated metabolites.2012
Author(s)
Takumi, H., Nakamura, H., Simizu, T., Harada, R., Kometani, T., Nadamoto, T., Mukai, R., Murota, K., Kawai, Y., and Terao, J.
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Journal Title
Food and Function
Volume: 3
Pages: 389-398
DOI
Peer Reviewed
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