2011 Fiscal Year Research-status Report
森林生態系における樹木と林床植物を繋ぐ菌根菌ネットワークの機能的意義の解明
Project/Area Number |
23658124
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (30324552)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 菌類 / 植物 / 菌根 / 国際情報交流 / フランス |
Research Abstract |
本研究では,日本の森林に遍在する林床に生育するツツジ科やラン科植物の根に共生する菌類の多様性と植物の根に共生する菌根菌の生態的意義を明らかにすることを目的としている. 今年度は東アジアに分布し,日本にも自生する低木のツツジ科ドウダンツツジ属植物における菌根タイプを,組織学的および分子生物学的アプローチから明らかにすることを目的とした.日本に自生するドウダンツツジ属植物計6種(サラサドウダン,カイナンサラサドウダン,ベニドウダン,ドウダンツツジ,アブラツツジ,コアブラツツジ)と変種の複数種を対象にした.各種の菌根の形成状況をトリパンブルーおよびカルコフロール染色法にもとづきそれぞれ光学,蛍光顕微鏡による組織学的調査をした.その結果,全ての種で植物細胞上にコイル状の菌糸の存在が確認された.さらにサラサドウダン,ベニドウダン,ドウダンツツジにおいては,嚢状に肥大した菌体構造が確認された. またサラサドウダンについては,4地点15個体を対象にして,根に感染している菌の系統群を調べた.18S rDNA領域を対象にPCR増幅した後クローニングを行い,それらの塩基配列の解読を行った.得られた塩基配列をBLASTによる相同性検索したところ,いずれもグロムス属のものと最も類似していた. 以上のことから,形態的,分子生物学的な調査により,ドウダンツツジ属植物にはアーバスキュラー菌根菌が定着していることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とする植物分類群に関する菌根共生の一端が新たに解明されたため.
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Strategy for Future Research Activity |
計画に大きな変更はなく,他の植物分類群,イチヤクソウ,についても同様に遺伝子解析,安定同位体解析を進めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DNA解析に伴う試薬,解析さらに,安定同位体の解析に用いる.得られた成果を公表する.今回招聘予定であった海外研究協力者が震災の影響で来日予定を延期することになったため,当該分を次年度に繰り越した.
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