2011 Fiscal Year Research-status Report
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23658131
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
玉泉 幸一郎 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80205062)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 乳管 / プロモーター / REFプロモーター / パラゴム / ペリプロカ / 遺伝子組換え |
Research Abstract |
パラゴム(Hevea brasiliensis)の乳管内のREFタンパク (Rubber Elongation Factor)と関連するREFプロモーターと、部位特異性のみられない35Sプロモーターを用いて2種類のベクターを構築した。それぞれのベクターには選抜マーカーとしてカナマイシン耐性遺伝子、モニター用にGFP遺伝子を組み込んだ。REFプロモーターはパラゴムからDNAを単離した後、クローニングして用いた。乳管植物であるペリプロカを対象に2つのベクターをアグロバクテリウム法により導入した。導入用の外植体にはクローン化したペリプロカの茎を用い、感染後にカルス化、カナマイシンによる選抜、再分化を行った。遺伝子導入の確認はGPF遺伝子をPCRにより増幅して行った。遺伝子組換え実験は、光強度50μmolm-2s-1、温度25℃、明期16時間、暗期8時間の高温器内で行った。 組換え体におけるGFPの発現を実体鏡下で確認した後、タンパクの発現をWestern blot法により調べた。その結果、どちらのプロモーターを用いた組換え体においてもGFPの発現が認められ、どちらもプロモーターとして機能していることが確認された。発現量を比較した結果、35Sプロモーターに較べてREFプロモーターではかなり発現量が少なかった。これは、REFプロモーターが部位特異的であるためであると考えられた。 発現部位を明らかにするために、横断切片を作成してGFPの発現部位を比較した。その結果、35Sプロモーターは全面に発現したがREFプロモーターは師部の一部に限定された。しかし、ペリプロカはGFPの自家蛍光があったために、乳管だけに特異的に発現したかどうかの特定はできなかった。乳管特異性を確認するためには、さらに詳細な発現組織の確認手法の確立が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度計画は、以下の2項目の実施を予定していた。1.乳管特異的プロモーターを用いたベクターの構築と組換え体の取得(REF, HEVEINプロモーターおよび35SプロモーターとGFP遺伝子を用いたベクターを構築し、ペリプロカの組替え体を取得する。)2.プロモーターの機能確認(GFPタンパクの合成確認をウエスタンブロッティングで行い、タンパクの生合成を確認する。)項目1については当初2つの候補プロモーターを予定していたが、HENEINプロモーターについては組換えがうまくいかなかったことから、REFプロモーターに限定することとした。REFプロモーターのみでも本研究の目的は達成できるので、問題はない。他の内容については、全て順調に進んだ。項目2については、作成した組換え体におけるGFPの発現状況をWestern blot分析で確認することができ、さらにその発現部位(組織)の大まかな特定にまで至ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.発現部位の確認 GFPの発現とタンパクの生合成の確認されたクローンは成長させ組織学的研究手法により生合成されている部位の確認を行う。まず、工学顕微鏡とオイルレッドO染色により生合成部位と乳管との位置関係を明らかにする。その後、共焦点レーザー顕微鏡を用いて(Sando et al., Planta,2009)、GFPタンパクの局在と乳管組織との関係を解析する。さらに免疫学的な手法としてin situ hybridizationを用いて、GFPタンパクの局在を確認する。最終的には、これらの3つの手法で得られた結果総合的に判断し、乳管特異的なプロモーターの機能を確定する。2.乳液(ラテックス)中での発現確認乳管中でのGFPタンパクの生合成の確認を、ペリプロカのラテックス中でのGFPタンパクの有無によって行う。クローン化された組換え体を人工気象器内で生育させ、それらの個体からラテックスを採取する。ラテックス中のGFPタンパクを蛍光観察やウエスタンブロッティングにより確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として、組織培養用薬品、遺伝子組換え用薬品、染色薬品、GFP抗体、顕微鏡用資材、組織培養用ガラス器具を購入する。(650,000円)学会出席のための国内旅費として使用する。(200,000円)組換え体の継代をするために謝金として学生アルバイトを雇用する。(200,000円)その他、成果発表として投稿料と印刷費に使用する。(50,000円)
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Research Products
(1 results)