2013 Fiscal Year Annual Research Report
潮汐リズム環境におけるマングローブ樹木の概日リズム制御
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23658132
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
渡辺 信 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (10396608)
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Keywords | マングローブ / 植物生理 |
Research Abstract |
前年度にdigenerate primerを用いた時計関連遺伝子群のクローニングの歩留まりが芳しくなかったため、平成25年度は次世代シーケンサーを用いて日本に分布する主要なマングローブ樹木の一種、Bruguiera gymnorhiza (和名:オヒルギ)のRNA-Seqを行い、トランスクリプトームプロファイルの作成を試みた。シーケンスとアッセンブルは自然科学研究機構基礎生物学研究所生物機能解析センターで実施、約10万のコンティグに纏めた後アノテーションを行い、トランスクリプトームデータベースの作成を進めている。その一方、既にクローニングしたchlorophyll a/b-binding protein (CAB2)様遺伝子のプライマーを用いて、人工的に作り出した潮汐リズムで湛水処理したオヒルギ実生の葉の遺伝子発現をリアルタイムPCRで調べた。その結果、湛水、非湛水の水環境に拘わらず、概日リズムと考えられる規則的な遺伝子発現パターンが確認された。この結果から、オヒルギ実生の葉の時計中核振動子のリズムは湛水状態の違いによってリセットされることはなく規則的に刻まれることが推察された。このことと同時に、花成や光合成のように湛水環境下では不都合を伴う生理現象は、概日リズムシグナル制御の下流域で何らかの調節をされている可能性が示唆された。現在作成中のトランスクリプトームデータベースが完成後、潮汐環境下における概日リズムがどのように制御されるかをin silicoでの解析により調べる予定である。
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