2013 Fiscal Year Annual Research Report
樹皮内生菌における宿主樹木の後天的防御機構への貢献に関する研究
Project/Area Number |
23658134
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
升屋 勇人 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, チーム長 (70391183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市原 優 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, グループ長 (10353583)
佐橋 憲生 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 領域長 (10202102)
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Keywords | 胴枯病 / 内生菌 / 抗菌物質 / クロサイワイタケ科 |
Research Abstract |
健全な樹木には様々な菌類が内生しているが、この内生菌群集の多様性や宿主への役割は、根圏、葉圏では宿主への栄養面、防衛面でのサポート機能を有していることが分かっている。一方、枝、幹の内生菌ではこうした機能は明らかにはなっていない。本研究では樹木の樹皮内生菌の多様性と宿主に対する適応的意義を明らかにすることを目的に、種類相、出現頻度、病原力、他菌に対する拮抗作用を調査し、樹皮内生菌の樹木に対する後天的防御機構への貢献度を調査した。アカマツ,コナラ,ミズナラ,ブナの枝を,青森県,岩手県,茨城県,京都府の各地より採取し、内生菌を分離した結果,樹種,採集場所によって優占的に出現する菌の種類や出現頻度は異なっていた。樹木枝に内生する菌は全体としてDiaporthalesが優占的に出現する分類群であった.本グループは枝の病原菌として知られる種類が多く,弱病原性グループが,枝が健全な段階でいち早く枝に内生している可能性が考えられる.また一部の地域、樹種で抗菌物質で他菌種の生育を抑制する種類が優占していた。このことは後天的防御機構の付与に貢献する種類と思われた。各樹種の優占種各5種について総当たりで対峙培養したところ、大きく3つのパターンが見られた。Diaportalesは他菌と培地上では競合したが、生育が早いため多くの場合優占した。一方、Xylarialesでは他菌を覆うように生育し、基質上に優占した。ミズナラから分離されたColpomaは抗菌物質で他菌の生育を抑制した。結果的に分類群によって他菌に対する拮抗能力に違いが認められた。これらの能力と樹木への寄生性から、Colpomaなどの抗菌活性を有する一部のグループに後天的防御能力を宿主に対して付与する可能性がある。本課題により得られた知見は、新規の病害防除法の開発に応用可能である。
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Research Products
(2 results)