2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658137
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
秋庭 満輝 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (50353553)
|
Keywords | 土壌線虫 / 多様性 / スギ / ブナ |
Research Abstract |
生物多様性の保全を考慮した森林管理手法の開発のため、様々な生物群で多様性指標の開発を目的とする研究が進められている。しかし、その多くが地上部の昆虫類や菌類を対象とする研究であり、その重要性とは裏腹に、地下部(森林土壌)を対象とした研究例は非常に少ない。森林全体の生物多様性を評価するには、森林の地上部から地下部までを総合的に考慮する必要がある。本研究は、日本の代表的な森林であるブナを中心とした広葉樹天然林と伐採後に植栽されたスギ人工林の土壌線虫相を明らかにし、これらを比較することにより、森林地下部に対する生物多様性指標としての土壌線虫の有効性を検証することを目的としている。 青森県白神地域のブナ天然林とブナ天然林伐採後にスギを植栽した人工林の各5林分の土壌を採集し、採集した土壌から線虫を分離するとともに線虫の標本を作製した。分離された線虫の中についてバーコード領域によるDNAタイピングを行った結果、235個のMOTU (molecular operational taxonomic units) が検出された。これらはかなり幅広い分類群に属し、多様性を調査する上でも充分なMOTU数であると考えられる。ブナ林とスギ林の線虫について各種の多様性指数、線虫の食性に基づく指数などを求めた結果、各指数についてブナ林とスギ林との間に有意な差は認められなかった。食性に基づく指標からは、両林とも比較的安定した森林の土壌線虫相であると判断された。以上の結果から、ブナ林を伐採して植林されたスギ林においても、土壌中の線虫についてはブナ天然林と同等な多様性を維持しているといえる。
|
Research Products
(2 results)