2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 雅文 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 准教授 (20263155)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 木質材料 / 可撓性 |
Research Abstract |
長年、木質材料は構造用途を主として高弾性・高強度化の道を歩んできたが、昨今、木材利用の新たな展開を拓くことが期待されている。本研究では、近年現れてきた低弾性・高可塑性の接着剤を基盤素材と新規接着加工技術の組み合わせによる木質系新素材の開発に挑戦している。本年度は、木質系新素材に用いる基盤素材として、木材はレース単板および突き板を、低弾性・高可塑性接着剤にはシリル化ウレタン樹脂系およびアクリル樹脂系接着剤を選定し、(1)単板と接着剤の材質が可撓性に及ぼす影響の実験的観察、 (2)接着層の変形量制御向けの新規接着剤・接着塗布技術の開発に取り組んだ。(1)単板と接着剤の材質が可塑性に及ぼす影響に関しては、対象のパラメータとして、(i)単板条件:樹種(密度)、厚さ、(ii)接着条件:接着剤種類、塗布量、(iii)積層条件:積層数を変えて、種々の単板積層材を製造し、荷重速度、スパン、余長を様々とした静的曲げ試験および動的粘弾性試験、シャルピー衝撃曲げ試験を行った。成果としては、試験時の温度環境においてゴム状態となっている接着剤では高い変形能を発現することが確認された。また、接着層間のせん断変形のズレを考慮した多層重ね梁の解法を用いた、中央集中荷重型の荷重条件の曲げ剛性および曲げ耐力の推定値と実験値はよく一致した。(2)接着層の変形量制御向けの新規接着剤・接着塗布技術の開発に関しては、同一断面内において、弾性と許容破壊ひずみの異なる接着剤を分割塗布することによる変形量の制御を試みた。結果として、分割塗布することで高い剛性を維持したまま、破壊までの変形が増大することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は予定していた2つの実験項目の当初目的をほぼ達成することができたためである。具体的には、(1)単板と接着剤の材質が可撓性に及ぼす影響を検討する実験については、種々の製造パラメータに対して精度の高い曲げ剛性・曲げ耐力の推定式が構築すること、および、低弾性の接着剤を用いた木質材料では従前の木材用接着剤と比較して非常に高い可撓性を発現させることを明らかにすること、という当初の目的をほぼ達成したためである。また、(2)接着層の変形量制御に向けた新規接着剤・新規接着塗布技術の開発実験に関しては、接着剤を同一面内で分割塗布することによって高い剛性を維持したまま変形量を増大させ、塗布パターンを変化させることで量的な制御も可能とした、という成果が得られたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
可撓化した木質材料の変形量の制御精度を高めるために、前年度の成果として得られた新規接着塗布技術を活かした低弾性・粘着性複合シートに開発に取り組み、その変形量や耐力の推定式を構築することで、可撓性制御技術の確立を目指す。具体的な手法として、樹木が疎水性のリグニンの三次元網目構造によって、軟化した樹体の形態維持のための枷をかけていることに着想を得て、レース単板接着側の接着基材に高強度繊維をアンカーさせた低弾性・粘着性複合シートに開発に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種素材(木材、接着剤、樹脂)の材料費および実験に用いるセンサーを物品費として計上する。さらに、本研究成果の発表のための国際学会への参加旅費を計上する。また、実験補助のための人件費および論文投稿費を計上する。
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