2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 雅文 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 准教授 (20263155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 幸司 秋田県立大学, 付置研究所, 准教授 (70451838)
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Keywords | 単板積層材 / 可撓性 / 接着剤 / エラストマー / 塗布技術 / 低弾性 / 高可塑性 |
Research Abstract |
長年,木質材料は構造用途を主として高弾性・高強度化の道を歩んできたが,昨今,木材利用の新たな展開を拓くことが期待されている.本研究では,近年現れてきた低弾性・高可塑性の接着剤を基盤素材として,新規接着加工技術の組み合わせによる木質系新素材の開発に挑戦した.木質系新素材には基盤素材としてレース単板および突き板を用い,低弾性・高可塑性接着剤にはシリル化ウレタン樹脂系およびアクリル樹脂系接着剤を選定し,(1)単板と接着剤の材質が可撓性に及ぼす影響の実験的観察,(2)接着層の変形量制御向けの新規接着剤・接着塗布技術の開発に取り組んだ.以下の成果が得られた.(1)単板と接着剤の材質が可塑性に及ぼす影響に関して,(i)単板条件:樹種(密度),厚さ,(ii)接着条件:接着剤種類,塗布量,(iii)積層条件:積層数を変えて種々の単板積層材を製造し,荷重速度,スパン,余長を様々とした静的曲げ試験および動的粘弾性試験,シャルピー衝撃曲げ試験を行った結果,試験時の温度環境においてゴム状態となっている接着剤では高い変形能を発現することが確認された.また,接着層間のせん断変形のズレを考慮した多層重ね梁の解法を用いた中央集中荷重型の荷重条件の曲げ剛性および曲げ耐力の推定値と実験値はよく一致した.(2)接着層の変形量制御向けの新規接着剤・接着塗布技術の開発に関して,同一断面内において弾性と許容破壊ひずみの異なる接着剤を割り付け塗布することによる変形量の制御を試みた.結果として,線状あるいは市松状に割り付け塗布することで高い剛性を維持したまま、破壊までの変形が増大することを明らかにした.さらに,接着層のせん断変形を一定範囲の留めるために,低弾性接着層を挟む基材間を高強度繊維(高密度ポリエチレン繊維およびアラミド樹脂)を用いて縫合するアンカー補強することで剛性の向上が図られることを確認した.
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