2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子間水素結合制御による新規バイオリファイナリー技術の創生
Project/Area Number |
23658142
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河本 晴雄 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (80224864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂 志朗 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50205697)
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Keywords | バイオマス / バイオリファイナリー / ケミカルス / 液体燃料 / 熱分解反応制御 |
Research Abstract |
本研究課題は、糖類の基本的な熱分解反応であるグリコシル転位反応(解重合物及び重合物を生成)及び脱水反応(フラン類、炭化物を生成)の基本原理が、分子間水素結合による酸性触媒作用にあるという研究代表者の仮説を、①さらに確実なものとするとともに、②本機構をバイオマスの高選択的なリファイナリー技術へと発展させることを目的に行なわれたものである。 まず、①については、種々のグリコシド類が水素結合アクセプターであるポリエーテル中及び芳香族化合物中で、通常の条件よりも100℃以上高温度域まで安定化されることを確認した。封管中、芳香族化合物共存系でグリコシド類を熱分解した実験では、溶液中での分解は起こらず、気化した後に気相で熱分解されることを明らかにした。また、気相中では、糖類に特徴的な“脱水・炭化”が全く進行せず、アルコール類などと同様に選択的に低分子化及びガス化物へと変換されることを明らかにした。さらに、芳香族化合物の脱水・炭化抑制作用は、急速加熱条件においてセルロースにおいても効果的に働き、炭化物生成が完全に抑制されることを見いだした。 もう一つの重要なバイオマス構成成分であるリグニンについては、熱分解により低分子化されるが再重合により再度高分子生成物へと変換される機構が明らかになり、これが選択的な低分子化を困難にしている理由の一つであることがわかった。また、再重合の機構として、キノンメチドを経由する機構が提案され、水素結合制御によりプロトン移動を抑制することで、本機構による再重合反応を効果的に抑制できることを明らかにした。 以上の成果により、木材構成成分の熱分解において、分子間水素結合が重要な役割を果たしているという研究代表者の仮説が実証され、本機構を応用することで、バイオマスを高選択的に燃料及びケミカルスへと変換する新規なバイオリファイナリー技術が可能になることが明らかになった。
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Research Products
(11 results)