2012 Fiscal Year Research-status Report
リグノセルロース超分子構造形成におけるリグニン生合成の寄与
Project/Area Number |
23658144
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅澤 俊明 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80151926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 武文 徳島大学, その他の研究科, 准教授 (60212148)
鈴木 史朗 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (70437268)
坂本 正弘 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (40303870)
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Keywords | リグニン / 超分子構造 / フェルラ酸 / 代謝工学 / 生合成 / 遺伝子組換え体 / 重水素標識体 / 二量体 |
Research Abstract |
木質バイオリファイナリー・バイオ燃料生産技術基盤確立の本質的なボトルネックは、リグノセルロース超分子構造が未だ十分には解明されていないことに帰結される。本研究は、既に申請者らが独自に作出した、リグニン生合成関連の一連の遺伝子それぞれの発現を個々に制御した組換えイネを用い、各種化学分析、遺伝子発現解析、組織観察をもとに、各遺伝子がリグノセルロース超分子構造形成に果たす役割を解析することを目的としている。 昨年度に引き続き本年度は、リグニン生合成遺伝子の発現を制御した組換えイナワラ等のリグニンおよび酵素糖化残渣の分析などを行い、リグノセルロース超分子構造を解析した。その結果、リグニン量と酵素糖化反応性には必ずしも相関がなく、リグノセルロース超分子構造構築におけるケイ皮酸類特にフェルラ酸二量体の効果が大きいことなどが一層強く示唆された。そこで、フェルラ酸二量体構造の精緻な解析に注力するため、まず一連のフェルラ酸二量体について、非標識標品の化学合成を進めた。フェルラ酸の二量体構造は、基本的にリグニン二量体構造(サブストラクチャー)と類似しているが、末端カルボキシ基の存在などにより、多くのバリエーションを有している。これらのバリエーションには、不安定で相互変換するものがあるが、本研究では不安定型を誘導体化し補足することに成功した。次いで、高速液体クロマトグラフ質量分析装置を用いた安定同位体希釈法による精緻な定量を行うため、重水素標識体の合成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに行った研究の結果、リグノセルロースの多糖の反応性が多糖を被覆するリグニンの量と必ずしも相関しない原因として、フェルラ酸二量体構造の関与が示唆された。よって、機構をさらに詳細に解析するため、当初の予定にはなかった、一連のフェルラ酸二量体に対する標識および重水素標識標品の化学合成を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、リグニン合成関連遺伝子の発現を制御した組換えイネの種子を順次組換え温室で栽培し、各組換え体を大量に調製する。得られた組換え体から茎(イナワラ)を分離し、一部は凍結・粉砕後、発現遺伝子(メッセンジャーRNA)抽出試料とする。 残りの試料は乾燥後、粉砕・溶媒抽出処理を行い、化学分析用試料とする。 化学分析については、特にフェルラ酸二量体の定性定量に注力し、リグノセルロース超分子構造の解析を進めるとともに、リグノセルロース糖化残渣の分析、リグニン分析等をおこなう。また、遺伝子発現解析については、標的遺伝子の発現を定量的RT-PCR法により解析する。 以上に基づき、リグノセルロース超分子構造の詳細解明を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(20 results)
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[Presentation] イネリグニン生合成の増強2013
Author(s)
小柴 太一, 山村 正臣, 鈴木 史朗, 服部 武文, 坂本 正弘 梅澤 俊明
Organizer
日本農芸化学会2013年度大会
Place of Presentation
仙台、宮城
Year and Date
20130324-20130328
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