2011 Fiscal Year Research-status Report
ポスト石油リファイナリーのためのマイクロ波増感固体触媒合成の新戦略
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23658145
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 隆司 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80201200)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | マイクロ波 / バイオマス / 固体触媒 / リグニン |
Research Abstract |
酵素糖化を介する木材からのバイオ燃料や化学品の生産では、リグニンの多糖への被覆をはずす高効率前処理法の開発が求められる。この目的のため、これまで様々な方法が検討されてきたが、マイクロ波感受性固体触媒反応を利用した例はない。本課題では、ヘテロ原子が金属酸素酸骨格に挿入されたヘテロポリ酸を合成するとともに、そのマイクロ波過酸化反応を開発して、木材中のリグニンを水溶液中で分解し、酵素糖化に適した糖鎖の分離とリグニンからの有用化学品の生産を同時に達成する。マイクロ波感受性ヘテロポリ酸触媒開発のため、微生物・酵素探索と同じく、機能を指標にした混合物からのスクリーニング法を導入する。 ヘテロポリ酸の合成は、単核の金属酸素酸イオンを溶媒に溶かし、リン酸、ケイ酸、などの酸を加えることにより、脱水縮合が進行して多核化により生成する。濃度やpH、酸の添加速度、反応時間などによりポリ酸構造が変化し、多様な構造体が生成する。平成23年度は、この特徴を活かして、バイオマス変換への適用例が少ないホウ素や鉄を含むヘテロポリ酸を合成し、マイクロ波加熱により、リグニンモデル化合物を分解する特性があるか否かを評価した。その結果、合成物の一つが、難分解性のリグニン二量体モデルを分解することを見いだした。今後は、さらに多様なヘテロポリ酸を合成し、リグニンモデルの分解特性や木材の糖化前処理への適用性、木材成分の構造変化を、NMR,GCMS、LCMSなどの機器分析を利用して評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオマス変換に用いられていないヘテロポリ酸の合成を行い、市販のヘテロポリ酸に匹敵するリグニンモデルの分解力を示す合成物を得た。これらのことから(2)と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオマス変換に適したヘテロポリ酸の合成をを継続実施し、触媒としての性能を評価する。24年度は、木材と反応させ、反応物の構造や酵素糖化性を詳細に解析する。また、分解力のある触媒の構造解析も実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヘテロポリ酸の合成とバイオマスの構造評価、酵素糖化に必要な試薬、器具類を購入する。また、研究成果報告などのための旅費に使用する。
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Research Products
(2 results)