2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロチャネル酢酸菌培養による新規微生物ナノ紡糸
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23658146
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 哲男 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30202071)
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Keywords | セルロース / 微生物ナノ紡糸 / マイクロチャネル / ナノファイバー / ゲル / 三次元網目構造 / 層流 |
Research Abstract |
本課題は、細胞壁形成におけるナノからマイクロサイズに至る繊維化システムをヒントに、新たなナノ繊維化プロセスの構築に挑戦するものである。 研究代表者は、マイクロチャネル空間を用い、その中の流動場で酢酸菌を培養するという方法で分泌ナノファイバーの自己組織化を誘導する。その際、走行とファイバーの形状とを同時制御させ、ナノサイズで制御可能な新規の微生物紡糸システムまでへの展開を検討する。 酢酸菌が好気性菌であるため、平成23年度はまず、液体培地表面をシリコンオイルにより被覆し酸素に直接触れていない状態で、培地中の残存酸素を用いて菌のナノファイバーの分泌が可能かどうかを調べた。その結果、産生量が少なくなったものの、酢酸菌がセルロースナノファイバーを分泌することが明らになった。得られたファイバーは従来のナノファイバーと繊維構造の異なるものであった。 平成24年度には、実際にマイクロチャネルを構築し、その中で液体培地を送液させ、実際に酢酸菌が実際にマイクロチャネル中を流れに沿った分泌運動を観察しながら、その乱流フローが層流になるような条件を検討した。一方、平成23年度に得られた低架橋密度ペリクルを一軸延伸し、異方性のユニークなナノファイバーフィルム材料の創製に成功した。 最終年度の本年度は、層流が形成された閉鎖マイクロチャネル内で、ナノファイバー製造マシンとしての酢酸菌を生産走行させ、得られるファイバーの性状を検討した。その結果、菌体外繊維分泌に伴う菌の走行が層流方向に制御され、同時に、分泌ナノファイバーの配向が維持されたまま自己凝集が促進され、最終的にマイクロファイバーが構築されることが判明した。すなわち、ナノサイズのファイバーの自己凝集方向を制限して、ボトムアップ的にマイクロファイバーを構築するという新たな微生物ナノ紡糸法の可能性を見出した。
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Research Products
(7 results)