2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658152
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
都木 靖彰 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (10212002)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | エゾバフンウニ / 卵巣 / 精巣 / 遺伝子微量定量系 / 栄養細胞 |
Research Abstract |
北海道において経済的価値の高いウニは養殖事業の最適種の一つであり、ウニの種苗生産技術は、ほぼ確立さているものの、食品的価値の高いサイズまで効率的に飼育する中間育成技術の確立には至っていない。その理由として、ウニの基礎的な生理学および内分泌学的情報が不足している。本研究は、ウニに生殖腺刺激ホルモンが存在するか否かを器官培養系を用いて明らかにすることを目的としている。本年度では、エゾバフンウニをモデル生物とし、生殖巣の発達に関与するタンパク質の同定と遺伝子配列の決定および遺伝子発現の微量定量系の確立を行った。器官培養系を用いて生殖腺刺激ホルモンの探索を行うためには指標となる遺伝子群が必要となる。そのため、ウニ雌雄生殖巣において、発現している主要卵黄タンパク質(MYP)およびApolipoproteinBおよび内部標準遺伝子であるGAPDHのcDNAクローニングを行い、それらから得られた塩基配列の情報をもとに特異的プライマーを作製し、遺伝子発現定量系の確立を主に行った。これら、数種類の遺伝子に対する遺伝子定量系が確立されたことにより、生殖腺刺激ホルモンの探索が容易となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ウニの生殖腺刺激ホルモンの探索が目的であるが、ホルモンの探索のためには分子マーカーを決定し、それらの分子マーカーの遺伝子発現量を増加させる物質がウニ生殖腺刺激ホルモンであると考え研究を遂行している。本年度は、ウニ雌雄生殖巣で発現している主要なタンパク質を同定するとともに、これらのタンパク質を分子マーカーとし、各遺伝子のクローニングおよび微量遺伝子定量系を確立した。このことから、これらの分子マーカーの遺伝子発現量を指標とし、これらの遺伝子発現量を増加させる物質(ホルモン)の探索が容易となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
分子マーカーの決定および微量遺伝子定量系の確立が終わったことから、生殖巣の器官培養系の確立を行う予定である。ウニ生殖巣の長期器官培養系を確立した例は無いため、魚類において確立されている長期器官培養系を参考にし、ウニ生殖巣の器官培養系の確立を行う。この器官培養系の確立においても確立した微量遺伝子定量系が重要な役割を果たすものと考えている。なぜなら、確立した微量遺伝子定量系の中には内部標準遺伝子の一つであるGAPDHがある。この遺伝子の発現動態を指標とすることにより培養組織の生存期間が推測されるからである。従って、GAPDH遺伝子発現量を指標に長期器官培養系の確立に着手する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は主にウニ生殖巣の器官培養系の確立を行うため、研究費は主に器官培養に必要な培養液および消耗品器具類の購入にあてる予定である。また、微量遺伝子定量系を使用するために必要な試薬を購入する予定である。前年度の残額は、平成24年3月に購入した、サンプルの冷凍保存に関係する消耗品の支払に使用する。
|