2014 Fiscal Year Annual Research Report
超雄・超雌作製と早期性判別を実現するための性連鎖DNA配列段階的同定法の確立
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23658153
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井尻 成保 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (90425421)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ティラピア / 性統御 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、ティラピアを用いて分子的性分化開始時の孵化後4-5日目の遺伝的雌(XX)および遺伝的雄(XY)の未分化生殖腺における発現遺伝子を、次世代シークエンサーHiseq2000およびIonPGMを用いて包括的にシークエンスを行った。混合アセンブリから447,503個のコンティグが作製され、戻しマッピングによって2,328個の孵化後4日目XY未分化生殖腺特異的発現コンティグを選抜した。 今年度は、これらコンティグのうち、遺伝的雌ゲノムと相同性が高いコンティグ、ミトコンドリア、リボゾーム由来のコンティグを除外し、さらに103個のコンティグに絞り込んだ。これらのコンティグに対し、XX(n=3)、超雄(YY; n=3)個体から調整したゲノムを用いてPCRスクリーニングを行った。その結果、6つのコンティグがYYゲノムでのみ増幅が認められた。さらに、検定数を増やし、XX(n=28)およびXY(n=30)個体から調整したゲノムを用いたPCRスクリーニングを行った。その結果、4個のコンティグで30個体のXYゲノム中それぞれ、12、16、13、13個体で増幅が認められた。4個のコンティグ増幅のうちいずれも増幅が認められなかったのは3個体のみであった。また、これら4個のコンティグはXXゲノムでは全く増幅が認められなかった。 以上の結果から、選抜された4個のコンティグのPCRスクリーニングを行うことによって、遺伝的XY個体のうち9割を特定できることが示された。100%判定には至らなかったものの、高い確率で遺伝的性を判定することができることから実用性は高い。手法的には単純作業であり、どのような魚種でも用いることができる。特に、チョウザメなど遺伝学的手法によって性特異的ゲノム領域を調べることが困難な魚種において、性特異的DNA配列を特定する上で極めて有用な方法であると考えられる。
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