2011 Fiscal Year Research-status Report
化学合成細菌の光刺激によるカロテノイド生合成系の活性化と制御
Project/Area Number |
23658155
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細川 雅史 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (10241374)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | カロテノイド / 海洋細菌 / ゼアキサンチン / Flavobacteria / Algibacter lectus / Jejuia pallidilutea |
Research Abstract |
本研究では、優れた生活習慣病予防効果やアンチエイジング効果が報告されている機能性カロテノイドを生合成する海洋細菌を見出し、その生合成系に及ぼす光刺激の影響を明らかにすることを目的とする。平成23年度の成果は以下の通りである。(1)海水や海藻、海底堆積物等からカロテノイド合成細菌の探索を行い35株を分離した。(2)分離菌のうち黄色の呈色が強いSS8株とオレンジ色を呈した11ShimoA1株を選択し系統解析を行った結果、Flavobacteria科のAlgibacter lectusとJejuia pallidiluteaと同定された。(3)SS8株が合成するカロテノイドはゼアキサンチンであった。(4)11ShimoA1株は、主要なカロテノイドとしてゼアキサンチンを合成するとともに、新規カロテノイドである(3R)-2’-(3-methylbut- 2-enyl)-3’,4’-didehydro-1’,2’-dihydro-βΨ-carotene-3,1’-diol (2’-isopentenyl-mtxol)を合成すること見出した。(5)11ShimoA1株は青色光(470nm)により2’-isopentenyl-mtxolの合成が促進されることを見出した。(6)11ShimoA1株およびPolaribacter sp.株は、赤色光(660nm)によりカロテノイド合成には影響が認められないものの、増殖が促進されることを認めた。(7)Bacillus megaterium ALA2株が、フコキサンチンをフコキサンチノールへと変換することを明らかにした。 これらの成果は、非光合成細菌による機能性カロテノイドの生合成や構造変換を示すものであり、特に光刺激がそれらのカロテノイド生合成系の制御や活性化能をもつことを示す興味深い知見であるため、それらの遺伝子制御機構に関する研究展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、機能性カロテノイドであるゼアキサンチンを合成する菌体を26株、アスタキサンチンを合成する菌体を2株分離した。更に、分離した11ShimoA1株は優れた抗酸化活性が期待される新規カロテノイドを合成するとともに、その合成が青色光によって活性化されることを見出した。一方、赤色光によって11ShimoA1株の増殖が促進される可能性が示唆されたことから、光刺激によるカロテノイド合成や増殖の制御機構の解明につながる興味深い成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度もカロテノイド合成細菌を探索するとともに、光刺激に対する応答性を詳細に調べる。特に本年度は、カロテノイド合成に関する遺伝子解析を行い、その光刺激による制御機構の解明を進める計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
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