2012 Fiscal Year Annual Research Report
化学合成細菌の光刺激によるカロテノイド生合成系の活性化と制御
Project/Area Number |
23658155
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細川 雅史 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (10241374)
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Keywords | カロテノイド / 化学合成細菌 / 光刺激 / 青色光 / isopentenylsaproxanthin / Jejuia pallidilutea |
Research Abstract |
昨年度、海藻付着細菌として分離した11shimoA1株は、zeaxanthin(Zx)に加えて新規カロテノイドである2'-isopentenylsaproxanthin(昨年度の報告したmyxolから名称を変更)を合成することを見出し、Jejuia pallidilutea と同定した。この11ShimoA1株では、青色光(470nm)の照射により2'-isopentenylsaproxanthinの合成量が1.5倍程度増加し、Zxの合成量が低下することを明らかにした。このような青色光への応答性は、Jejuia pallidilutea KCTC22298株でも同様に認められた。一方、青色光による増殖への影響は見られず、蛍光灯や赤色光(660 nm)の照射によるカロテノイド生合成への影響も見られなかった。よって、11ShimoA1株のカロテノイド生合成系が青色光によって制御されることが明らかとなった。このようなカロテノイド生合成に対する光応答性は、他のFlavobacteria科の細菌であるPolaribacter sp.やAlgibacter lectusでは認められず、Jejuia pallidiluteaに特徴的といえる。 更に、11ShimoA1株の全ゲノム解析を行いカロテノイド合成遺伝子を調べた結果、crtI、crtB、crtZ、crtYがクラスターを形成していることが分かった。一方、11ShimoA1株のゲノム中には近縁のFlavobacteria科の細菌には存在しない不飽和化酵素や側鎖転移酵素が存在し、2'-isopentenylsaproxanthinの生合成に関わっていることが推察された。特に、青色光の照射によってカロテノイド合成に関わる異性化酵素のmRNA発現量に増加が見られたことから、青色光応答性における役割が推察された。
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