2011 Fiscal Year Research-status Report
人工遺伝子を用いた魚類細胞内寄生性細菌に対するワクチンの開発
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23658157
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
廣野 育生 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (00270926)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 人工遺伝子 / DNAワクチン / 魚病細菌 |
Research Abstract |
1. 人工遺伝子のデザイン:既にクローン化してある魚類の細胞内寄生性細菌のワクチン候補遺伝子ならびにブリおよびヒラメのコドン使用頻度を比較した。それぞれの細菌と魚類におけるコドンの使用頻度が異なるコドンを明らかにし、Nocardia seriolae、Edwardsiella tardaおよびPhotobacterium damselae subsp. piscicidaの遺伝子のコドンを魚類のコドンに置き換えた人工遺伝子を作製した。2. DNAワクチンの作製およびタンパク質発現の確認:人工遺伝子をDNAワクチン用のベクタープラスミドに連結し、次いで、大腸菌に導入後大量培養し、精製DNAワクチンを準備した。まず、Nocardia seriolaeのDNAワクチンが効率よくタンパク質を生産することを確かめるために、ヒラメ培養細胞に導入し、タンパク質の発現を確認した。3. ヒラメを用いたワクチン試験:体重約15gのヒラメの背筋にNocardia seriolaeのDNAワクチンを100μl(25μg)注射し、60Lの水槽で水温20℃にて飼育し、免疫期間4週間設けた。4週間後に感染試験を実施し、感染防御効果を比較したところ、コドン最適化したNocardia seriolaeのNAワクチンは野生型遺伝子DNAワクチンより感染防御効果が高いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果に記載したとおり、予定していた魚病細菌のコドン至適化DNAワクチンを作成することが出来、その一部については培養細胞にてタンパク質の発現とワクチン試験による効果を明等かにすることが出来ていることから、研究は概ね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
コドンを至適化したDNAワクチンは準備出来たので、ワクチン試験と感染実験を順次進めて行き、ワクチンの評価を分生物学的アプローチにより明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. ブリを用いたワクチン試験 体重約20gのブリ稚魚の背筋にE. tarda以外の各ワクチンを100μl(25μg)注射し、200Lの水槽で水温25℃にて飼育し、免疫期間4週間設ける。4週間後に、それぞれの細菌による感染試験を実施し、感染防御効果を判定する。感染試験に用いる細菌数等は、これまでに実施して来た研究により既に研究室で確立してある方法で行う。攻撃試験後30日間は試験魚の死亡を経過観察する。E. tardaについてはヒラメでワクチン試験を実施する。2. ヒラメおよびブリの免疫応答について 人工遺伝子および改変前(細菌のコドン)DNAワクチン接種によるヒラメおよびブリの免疫応答に違いがあるかを、オリゴDNAマイクロアレイを用いて比較検討する。ヒラメおよびブリの大規模遺伝子発現遺伝子解析により得られた配列情報を基に、免疫に関する遺伝子を中心に、2魚種とも1万から1.5万種類のオリゴDNAプローブを搭載したオリゴDNAマイクロアレイをデザイする。このオリゴDNAマイクロアレイの作製は業者に外注する。このマイクロアレイを用い、ワクチン接種後一定期間後の魚の腎臓における遺伝子発現プロファイリングを実施する。各試験区ともに4尾の魚を使用し、ワクチン接種後1日、3日および7日後とワクチン接種魚に対する感染試験実施後1日目の魚からサンプリングを実施する。
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Research Products
(3 results)