2011 Fiscal Year Research-status Report
イセエビフィロソーマ幼生における溶解アミノ酸の吸収機構の解明
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23658158
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | イセエビ / フィロソーマ幼生 / 溶解アミノ酸 / 栄養摂取 / 経皮的吸収 |
Research Abstract |
本研究では、イセエビフィロソーマ幼生の栄養摂取機構を総合的に解明することにより種苗生産のための適切な餌料系列を見出すことを最終目標として、当面は本種のフィロソーマ幼生の体表における栄養成分の吸収条件ならびに各種アミノ酸の選択性・必要性を明らかにする。具体的には、飼育水に溶解している各種アミノ酸の体内への取り込み速度や代謝・成長・生存への貢献度ならびに異なる日齢(発生段階)の幼生の吸収能力を検討する。 平成23年度では、(1)溶解アミノ酸の経皮吸収過程ダイナミクスならびに吸収に及ぼすアミノ酸の種類および濃度の影響と(2)吸収に及ぼすフィロソーマ幼生の発生段階の影響について調べた。まず、前者では、240~250日齢の脱皮間期のフィロソーマ幼生を供試し、7種類のL-タイプアミノ酸を混合した飼育水で0~5時間インキュベートした。アミノ酸は0(対照区)、1、2、5、10および20マイクロモルを飼育水に添加した。フィロソーマ幼生への取り込み量の定量は、経過時間ごとに飼育水中のアミノ酸残量を高速液体クロマトグラフィー(High-Performance Liquid Chromatography, HPLC)法で測定し、試験開始時および対照区との差から求めた。その結果、幼生は7種類のアミノ酸を濃度依存的に吸収可能で、1~2時間で吸収率がピークすることが判明した。一方、後者では、I、II、III、XII、XIVとXXII齢のフィロソーマ幼生を5と20マイクロモルに調整した8種類の溶解アミノ酸溶液で0~5時間インキュベートし、吸収能力の経時的変化を調べた。なお、本実験のアミノ酸の吸収の測定については(1)と同様な手法を用いた。その結果、フィロソーマ幼生の溶解アミノ酸吸収能力は孵化直後から最終齢まで認められたが、加齢が重なるとともに低下することが判明した。。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、計画段階で挙げられた課題について確実に成果を上げていることから、「おおむね順調に進展している」と判断した。すなわち、当該年度で(1)溶解アミノ酸の経皮吸収過程ダイナミクスならびに吸収に及ぼすアミノ酸の種類および濃度の影響と(2)吸収に及ぼすフィロソーマ幼生の発生段階の影響に関する知見を得る目標に対し、先述の「研究実績の概要」の通り、それらの課題について実験を実施し、成果を上げた。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で特に推進方策の変更が必要はないと判断しているので、概ね当初計画の通りで実施する予定。とりわけ、平成24年度では、先述の(1)溶解アミノ酸の経皮吸収過程ダイナミクスならびに吸収に及ぼすアミノ酸の種類および濃度の影響と(2)吸収に及ぼすフィロソーマ幼生の発生段階の影響に関する追加実験やアミノ酸の吸収過程における選択性や互いの相乗効果・拮抗効果を検証する実験を実施する予定。さらに、(3)成長・生存における溶解アミノ酸の経皮的吸収の重要性について、短期(~30日)および長期(~250日)の飼育における溶解アミノ酸の定期的な浸水処理がフィロソーマ幼生の活性・成長・生存に及ぼす効果を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費については、これまで通り、物品費(薬品類、実験器具類、供試魚飼育水槽部品、実験用動物など)、国内旅費(調査・研究旅)、謝金等(研究補助)およびその他(研究成果投稿料)に使用する予定。なお、その内訳は物品費70万円、国内旅費5万円、謝金等10万円およびその他5万円とする。
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