2012 Fiscal Year Annual Research Report
イセエビフィロソーマ幼生における溶解アミノ酸の吸収機構の解明
Project/Area Number |
23658158
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
STRUSSMANN C.A. 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (10231052)
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Keywords | イセエビ / フィロソーマ幼生 / 溶解アミノ酸 / 栄養摂取 / 経皮的吸収 / 成長 / 生残 |
Research Abstract |
本研究では、イセエビフィロソーマ幼生の栄養摂取機構を総合的に解明することにより種苗生産のための適切な餌料系列を見出すことを最終目標として、本種のフィロソーマ幼生の体表における栄養成分の吸収条件ならびに各種アミノ酸の選択性・必要性を検討する。平成24年度では、①溶解アミノ酸の経皮吸収量および吸収ダイナミクスに及ぼすアミノ酸溶液の組成と濃度の影響と、②初期フィロソーマ幼生の活性・成長率・生存率に及ぼす定時的な溶解アミノ酸への浸漬処理の効果を検証した。まず、一定量の濃度(80μMと320μM)の単独(8種類のアミノ酸:Glu・Ala・Met・Asp・Thr・Gly・Val・Ser)と混合したアミノ酸溶液(3種類:Glu・Ala・Met;8種類:先述の8アミノ酸)で初期のフィロソーマ幼生をインキュベートし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いてフィロソーマ幼生への取り込み量を測定した。その結果、アミノ酸の吸収過程におけるフィロソーマ幼生の選択性ならびにアミノ酸の互いの相乗効果・拮抗効果の存在が明らかになった。続いて、フィロソーマ幼生の成長・生存における溶解アミノ酸の経皮的吸収の影響を調べるためにこれまでの吸収過程ダイナミクスなどのデータを踏まえ、初期幼生の短期(~30日)飼育中に定期的に一定量の濃度(5, 20, 80μM)に調整した上記8種類アミノ酸混合液および22種類混合液(先述の8アミノ酸とCys・Ile・Leu・Phe・Pro・Trp・Cys-Hydrochloride・Trans-4-hydroxy-Pro・Asn・Tyr・Gln・Arg・Lys・His)で溶解アミノ酸の浸漬処理を施した。その結果、フィロソーマ幼生の活性・成長率・生存率に著しい向上が確認された。以上、イセエビ幼生飼育における溶解アミノ酸浸漬処理の有効性が立証された。
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