2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村山 美穂 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (60293552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 譲 琉球大学, 理学部, 教授 (30342744)
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Keywords | 社会行動 / 遺伝子 / イカ / タコ / 水産資源 |
Research Abstract |
本研究では、発達した感覚・神経系を持ち、群れという機能的な社会システムを作るイカ類の行動の個体差、すなわち個性に注目し、その背景となる遺伝子の探索を目指す。「海の霊長類」と称されるイカ類について、その複雑で発達した社会システムを「個性」という観点から詳らかにする。遺伝子型が選抜指標となれば、資源管理や養殖技術開発、水族館学に多大な貢献が期待される。 前年度までに、行動評価データのあるアオリイカ多数個体の遺伝子型判定を行い、ホタルイカ、スルメイカとも比較した。沖縄島由来25個体と対馬由来1個体で、マイクロサテライトマーカー1種類でアオリイカ集団内に多型が認められている。また、mtDNAのCOI領域の塩基配列には、沖縄島由来のアオリイカでは3種類のハプロタイプ、対馬由来の個体では異なるタイプがみられている。25年度は、沖縄島由来のアオリイカの飼育集団の個体数を増やして、近縁種より得られたマイクロサテライトマーカー5種類の型判定、およびmtDNAのCOI領域の塩基配列の決定を行った。前年度までと比較して新たな型は見いだされなかった。 これまでの飼育集団の行動解析により、高順位個体やネットワーク内で中心的な位置を占める個体を多く含む血縁集団が存在する可能性が明らかになった。25年度は、飼育集団内での個体の行動と出生環境との関係を調べたところ、遺伝的交流がなく、出生地域の異なる個体が作る群れでは、捕食時の積極性や防衛時の過敏さなどについて、異なる行動特性を示す傾向が認められた。霊長類や鳥類の社会行動に関する情報の蓄積により、オキシトシン受容体などの候補遺伝子がピックアップできた。 ホタルイカでも個体数を増加してmtDNA塩基配列を調査したが、種内多型は見られなかった。今後、さらに試料数を増やして調べる必要がある。
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