2013 Fiscal Year Annual Research Report
フグのウオジラミがフグの鰭のみに寄生する分子メカニズムを探る
Project/Area Number |
23658162
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大塚 攻 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (00176934)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 譲 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40107412)
田角 聡志 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任助教 (90359646)
|
Keywords | トラフグ類 / ウオジラミ類 / 寄生 / サブトラクティブハイブリダイゼーション法 / 寄生部位特異性 / カワハギ類 / ペンネラ類 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
(1)昆虫細胞を用いた細胞表面ディスプレイ法についてこれまで生じた問題の解決を試みた結果、本手法は細胞表面に提示させたトラフグ由来の膜タンパク質とウオジラミ類由来の膜タンパク質との相互作用を調べるのには適していない、という結論に至った。これは、膜タンパク質の可溶化に用いる界面活性剤によるもので、酵母を利用した系のように界面活性剤に耐性のあるものを利用する必要があることが明らかとなった。サブトラクティブハイブリダイゼーション(SSH)法による、胸鰭において皮膚よりも発現量の多い候補遺伝子の探索についてはシーケンスを収集することができ、392個の配列が得られ、このうち独立した配列数は135個であった。これらは118個の遺伝子をコードしていた。このうち、分泌タンパク質あるいは誘引物質の合成・修飾に関与すると思われる酵素47個を選び出し、実際に両組織で発現量が異なるのかをRT-PCRによって調べた結果、10個の候補にまで絞り込むことができた。SSH法では網羅性に問題があることや得られた候補の真偽判定が煩雑であるため、次世代シーケンサーを用いたRNA seq法を導入することでこれらの問題を解決できる。 (2)カワハギ類の鰭に寄生するカイアシ類Peniculus minuticaudeの生活史、全発生ステージを解明した。本種の属するペンネラ科では成体雌のみが別な宿主あるいは同一宿主の別な寄生部位に替わる生活史が知られていたが、本種では成体雌も含む全ステージが同一宿主の鰭上で過ごすパターンであった。この生活史の相違は宿主への感染の容易さ、宿主からの栄養吸収のしやすさ、寿命、産卵量等との関連があると推定される。また、ウオジラミ類全般のcopepodid期(広義)の発生ステージ数が通常のカイアシ類同様に6期であることを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)