2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658163
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松山 倫也 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00183955)
|
Keywords | 春機発動 / Kiss / GnRH / GtH / マサバ / 神経ペプチド |
Research Abstract |
魚類の春季発動機構の理解およびその制御技術の開発は,基礎生物学上の重要性にとどまらず,水産増養殖への応用にとっても極めて重要である。春季発動機構解明のための解析ツールと全生活史にわたる飼育実験系が整備されているマサバを用いた本研究は,魚類の春季発動機構の先端的モデル研究として位置づけられるとともに,そこから得られた知見は,同じサバ科であるクロマグロの早期成熟技術開発へ直接的に応用可能となる。最終年度である本年度は、合成キスペプチン(Kiss-1, Kiss-2)を用いた投与試験を行い以下の成果を得た。 1)マサバ成魚へのKiss投与による成熟促進効果 産卵期前の未熟な生殖腺をもったマサバ雌雄成魚(2歳)に対して,合成したKiss-1(アミノ酸15個)およびKiss-2(アミノ酸12個)をオスモティックポンプに封入し,腹腔内投与して45日後に取り上げた。その結果,Kiss-1投与した雄では精巣の成熟が促進され,排精に至った。また,Kiss-1投与した雌では卵黄形成の開始が起こっていた。一方,Kiss-2投与した雌雄いずれにおいても,生殖腺の成熟促進効果は認められなかった。 2)マサバ未成魚に対するKiss投与による春季発動促進効果 マサバの0+魚を対象にして,合成Kiss-1およびKiss-2を,カカオバターに封入し,2週間間隔で3回筋肉内投与し,42日後に取り上げた。その結果,Kiss-1投与した雄では生殖腺指数(GSI)が上昇し,精子形成が促進された。一方,Kiss-1投与した雌,およびKiss-2投与した雌雄では,顕著な変化は認められなかった。これらの結果より,マサバではKiss-1が雄の春機発動を促進していることが明らかとなった。 本成果は、Kiss-1投与が,特にマサバ雄の春季発動および性成熟の成魚に深く関与していることを示している。
|
Research Products
(16 results)