2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658166
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中村 將 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (10101734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 俊朗 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (30238331)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高水温 / 不妊化 / 生殖細胞 / ティラピア / コイ |
Research Abstract |
本年度は、1)温度による不妊化魚大量生産のための最適誘導技術の開発、2)不妊化魚の成長機構の解明、3)生殖細胞の細胞死機構の解明、4)ティラピア以外の魚種における高温飼育による不妊化の技術開発、5)研究成果のとりまとめのための学会発表と論文投稿を目的として研究を進めてきた。40度近くの温度の飼育では死亡率が高まった。実用的には不妊化の温度として36-37度が死亡率も低く生残率も高いので適切な温度であると結論された。37度で30日処理だと部分的に生殖細胞が残り成熟することが分かった。45日処理ではほとんどの個体は不妊化するが、少数個体の生殖腺の一部に生殖細胞が残ることを確認した。しかし、残った生殖細胞は成熟することはなかった。小型の60L水槽で300尾以上の稚魚を不妊化することができ、実用的にも不妊化魚の大量生産が可能であることを証明した。生殖細胞の死滅する過程を組織学的に観察することが出来た。高水温処理後に不妊化魚は成長が回復することが明らかとなった。また、約7cmの卵巣が分化した稚魚、約12cmの成熟を開始した卵巣を持つ個体を高水温で約2ヶ月飼育すると完全に不妊化した。孵化後13ヶ月の通常交配群2系統のコイを用いて36℃にて高温飼育を実施した。90日間の高温処理の後、180日間通常条件で飼育後、生殖腺の組織像を観察したが、雌雄いずれも不妊化の兆候を示す所見は確認できなかった。孵化後3ヶ月の遺伝的全雄群、遺伝的全雌群でも同様の高温処理実験を実施したが、同様に不妊化の兆候を示す所見は確認できなかった。更なる温度負荷の可能性を探るべく、生存限界温度(37℃)と致死温度(39℃)を断続的に与える実験を行ったが、斃死の速度が低下するのみで、長期間の負荷には耐えることが出来なかった。以上の実験結果をもって、コイでは高温処理による不妊化は困難であるとの結論に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である高温度による不妊化魚大量生産のための最適誘導技術の開発に成功した。不妊化に伴う生殖細胞の死滅過程を明らかにした。不妊魚の高成長も確認できた。成熟雌の不妊化にも成功した。ティラピア以外での魚として、コイを用いて高水温実験による研究を行うことが出来た。ただ、不妊化は誘導出来なかった。論文を書き上げ投稿の準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
中村將は定年退職も琉球大学が名誉教授として科研費の受け入れ研究機関を承諾して研究を進めることになった。研究場所として熱帯生物圏研究センターの瀬底研究施設の利用の許可を得た。中村は退職後も申請研究を完遂する上での時間と場所を十分に確保した。他に、分担者、実験補助者および会計担当者の支援を得て研究を推進する。成果は、国内外の学会シンポジウムで発表する。コイでの高水温での影響は見られなかったので、他の魚についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
解析に必要な消耗品が必要となる。また、魚を飼育する関係から実験補助者に支払う謝金を支出する。また分担者との情報交換のために旅費を支出する。
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