2013 Fiscal Year Annual Research Report
アコヤガイ外套膜上皮細胞移植による真珠生産法と真珠黄色度調節技術の開発
Project/Area Number |
23658169
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
淡路 雅彦 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, グループ長 (20371825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿沼 誠 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (60303757)
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Keywords | 真珠 / 細胞培養 / 色素 / アコヤガイ / 外套膜 |
Research Abstract |
この研究は真珠を作るアコヤガイ外套膜外面上皮細胞を培養しその培養細胞を移植して真珠を生産する技術を開発する事と、真珠の品質を決める重要な要因である黄色味について、その実体である黄色色素とその産生にかかわる遺伝子の解明を目的とする。25年度は凍結保存および培養外面上皮細胞による真珠形成、外面上皮細胞が培養下で形成する濾胞状構造の形成条件と微細構造の検討、黄色色素の構造解析、黄色色素産生関連遺伝子の解析を進め以下の結果を得た。1.凍結保存外面上皮細胞は解凍後の細胞生残率が低く、細胞数1万の移植で真珠形成率は約12%と低かった。培養外面上皮細胞の移植では培養に伴い細胞数が減少し、培養開始2週間および4週間後の細胞の移植では、細胞数3-4千の移植で真珠形成率は10%以下と低かった。2.外面上皮細胞を培養して形成される濾胞状構造は主に1層から数層の外面上皮細胞で構成され、それらの上皮細胞は極性を有し一部を除き頂端側が培養液側を向いていた。濾胞形成率には培養液による差が認められた。3.アコヤガイ真珠層から塩酸含有メタノールで3種の黄色色素(E1~E3)が抽出され、抽出液のpHを変化させると主要成分であるE1およびE2がそれぞれ異なるpHで沈殿し、両色素が分離できた。両色素は酸加水分解により水溶性となることが分かった。4.黄色真珠層系統と白色真珠層系統アコヤガイの外套膜間でcDNAサブトラクションを行い、両系統で発現差のある約600種cDNAの配列を解析した。既知遺伝子との類似性が認められた10種の遺伝子の発現解析を行った結果、3種の遺伝子で黄色系統外套膜で高発現している傾向が認められた。しかし個体毎の発現差が大きく色素産生関連遺伝子を同定するには至らなかった。本研究によりアコヤガイ外套膜外面上皮細胞移植で真珠生産し黄色度を調節する技術が開発されたが、黄色色素の実体解明には至らなかった。
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