2013 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス燃料生産に適する最少遺伝子セットを持つマリンビブリオセルの創成
Project/Area Number |
23658172
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤辺 智雄 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (30241376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 聡 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (70435832)
細川 雅史 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (10241374)
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Keywords | 再生可能エネルギー / 水産学 / 微生物 / ゲノム / バイオマス |
Research Abstract |
陸上バイオマスや淡水に依存しないバイオ燃料の生産として,海洋バイオマスの燃料変換技術基盤の効率化が喫緊の課題である。申請者は海藻特有の糖質をバイオエタノールやバイオ水素に変換するマリンビブリオを見いだし,バイオ燃料生産の最適化と全ゲノム配列 に基づく代謝系の予測を可能とした。平成25年度は,アルギン酸からエタノールを生産可能なVibrio halioticoli代謝改変株の構築,およびV. halioticoliの網羅的遺伝子発現解析を進めることができた。 1. Zymomonas mobilis ZM4株のピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子およびアルコール脱水素酵素遺伝子の両者を直列に並べて挿入したプラスミドを用い,V. halioticoli IAM 14569T株の遺伝子組換え株を作成することに成功し,海水が存在する培養条件において,アルギン酸からエタノールを生成可能であることを示した。また,本株はpH 7.5および20°Cで,アルギン酸からのエタノール生成が向上した。 2. 昨年度までに確立したRT-qPCRによるアルギン酸代謝V. halioticoli細胞の遺伝子発現に加え,ゲノム支援事業による支援も受けRNA-Seqを用いた網羅的遺伝子発現解析を実行した。その結果,①マンニトール代謝細胞では,アルギン酸代謝細胞に比し,マンニトールPTS,EM経路およびadhE遺伝子,トレオニン合成系,硫黄代謝およびグルタチオン代謝に関わる遺伝子の発現量が高かった。さらに鉄輸送系遺伝子の発現量も高く,細胞内に取り込まれた鉄が,鉄依存性酵素でもあるAdhEの働きを活性化していることを示唆した。②一方,アルギン酸代謝細胞では,細胞内外に局在するアルギン酸分解酵素,アルギン酸輸送体ポリンおよび細胞膜局在性Na+共輸送体をコードする遺伝子が顕著に上方発現していた。さらに,Na+/H+逆輸送体,シトクロム複合体,ATP合成酵素およびTCA回路をコードする遺伝子の発現も観察され,これらがアルギン酸の代謝に関与する可能性を示唆した。
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Research Products
(3 results)