2012 Fiscal Year Annual Research Report
萌芽研究-アミノ酸は魚類のエネルギー代謝中核物質か?
Project/Area Number |
23658174
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
潮 秀樹 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (50251682)
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Keywords | アミノ酸 / 代謝 / 魚類 |
Research Abstract |
小型魚類を用いて,インクレチンによるインスリン分泌のアミノ酸による制御とインスリンによるアミノ酸取り込み制御を明らかにすることによって,魚類のエネルギー代謝におけるアミノ酸の重要性を見出し,エネルギー代謝主軸物質としてアミノ酸を中心とした魚類固有のエネルギー代謝経路の再構築することを目的とした. まず,蛍光性のあるアミノ酸アナログ7-azatryptophan,5-hydroxytryptophan,5-bromotryptophanをCHSE-214細胞に取り込ませたところ,7-azatryptophanの取り込みが優れていることが明らかとなった.これを用いて蛍光顕微測光システムにて取り込みの状況を測定した.また,ゼブラフィッシュのGLP-1のアミノ酸配列をEMBOSS Antigenicによって解析し,抗原性の高い配列候補としてTSDVSSYLQDQAAQSFVAWLKを得た.本配列は比較的疎水性が高いため,合成が困難であったが,得られた少量のペプチドをKLH標識し,ウサギ抗血清を得た.ゼブラフィッシュ肝膵臓および腸から抽出したタンパク質について得られた抗血清を用いたウェスタンブロッティングを行ったが,いずれの試料からも陽性反応が認められなかった.今後,抗原配列の再設計を行い,特異的な抗血清を得る予定である.このため,本研究期間内では,残念ながらGLP-1陽性細胞の特定には至らなかった. アミノ酸への応答を明らかにするために,ゼブラフィッシュにLys欠飼料を投与したところ,肝臓から筋肉への脂質の移行が起こることが明らかとなった.以上のように,本研究期間内では,エネルギー代謝主軸物質として確定するには至らなかったが,少なくとも魚類では摂取したアミノ酸がエネルギー代謝制御機構に大きく影響を与えるものと考えられた.
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