2011 Fiscal Year Research-status Report
ウナギの筋肉の性能が浸透圧ストレスによって変化する分子機構の解明
Project/Area Number |
23658178
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
舩原 大輔 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (00335150)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ウナギ / 浸透圧ストレス / 速筋型ミオシン / 遅筋型ミオシン / 普通筋 / 血合筋 |
Research Abstract |
ウナギは浸透圧ストレスをうけると筋肉のタイプを速筋型から遅筋型に変換させている可能性が考えられているが、その分子メカニズムは分かっていない。そこで本研究では、筋収縮タンパク質であるミオシンに着目し、速筋型ミオシンアイソフォームと遅筋型ミオシンアイソフォームの発現パターンが、浸透圧ストレスによってどのように変化するのかを調べることを目的とした。 まず本年度は、ミオシンアイソフォームの発現パターンをタンパク質レベルで明らかにするために、ウナギ筋原線維を電気泳動に供し、ミオシンアイソフォームの発現パターンを調べた。淡水、50%海水および100%海水で飼育したウナギから筋肉を採取し、普通筋と血合筋に分け、それぞれから筋原線維を抽出した。筋原線維をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。泳動パターンから主たる筋原線維タンパク質が確認されたものの、ミオシンアイソフォームを分離するには至らなかった。次に筋原線維を二次元電気泳動に供した。市販のゲルストリップを用いて一次元目の等電点電気泳動を行い、続いて二次元目のSDS-PAGEを行ったが、一次元目で筋原線維タンパク質がうまく分離されなかった。そこで、一次元目にアガロースゲルを用いて同様に二次元電気泳動を行ったところ、筋原線維タンパク質がうまく分離され、複数のミオシンアイソフォームを確認することができた。現在のところ、十分なデータは得られていないが、各試験区のウナギ筋肉について解析を続けている。 本年度の研究成果によって、浸透圧ストレスによるミオシンアイソフォームの発現パターンの変化を遺伝子レベルだけでなく、タンパク質レベルでも解析することが可能となり、より詳細にウナギ筋肉タイプの変換メカニズムを解析できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
浸透圧ストレスによるミオシンアイソフォームの発現パターンの変化をタンパク質レベルで解析することを目指し、電気泳動法を用いることによって速筋型および遅筋型ミオシンアイソフォームの分離を試みたが、電気泳動の条件設定に時間を要した。最終的には本年度内に最適条件の設定に成功したものの、当初の計画からは遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度確立した電気泳動によるミオシンアイソフォームの発現パターン解析法を用いて、各試験区すなわち淡水、50%海水および100%海水で飼育したウナギの筋肉における、速筋型および遅筋型ミオシンアイソフォームの発現パターンを解析する。また、遺伝子レベルでのミオシンアイソフォーム発現パターンと、タンパク質レベルでの発現パターンを比較解析するために、ミオシンアイソフォーム遺伝子の発現パターンを解析する。さらに、速筋型および遅筋型ミオシンアイソフォームをそれぞれ認識する抗体を作製し、免疫組織化学の手法を用いて、ウナギ筋肉におけるミオシンアイソフォームの分布を解析する。これら実験から得られた結果をもとに、ウナギが浸透圧ストレスによってどのように筋肉の性能を変化させているのかを分子レベルで考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
速筋型および遅筋型ミオシンアイソフォームをそれぞれ特異的に認識する抗体を作製するための経費が必要となる。試薬類などの消耗品を購入する経費が必要となる。研究遂行のための情報収集や、他研究者との研究打合せ、学会での研究発表のための旅費が必要となる。
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Research Products
(7 results)