2012 Fiscal Year Annual Research Report
ウナギの筋肉の性能が浸透圧ストレスによって変化する分子機構の解明
Project/Area Number |
23658178
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
舩原 大輔 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (00335150)
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Keywords | ウナギ / 普通筋 / 血合筋 / ミオシン重鎖 / 浸透圧ストレス |
Research Abstract |
昨年度までの研究によって、ウナギが浸透圧ストレスを受けることによって、筋肉におけるミオシン・アイソフォームの発現パターンが変化することがわかった。そこで今年度は、速筋型ミオシン重鎖遺伝子と遅筋型ミオシン重鎖遺伝子の発現レベルと飼育水中の塩濃度の関係を詳細に調べた。また速筋型及び遅筋型ミオシン重鎖をそれぞれ特異的に認識する抗体の作製した。 ウナギを淡水、50%海水および100%海水で一定期間飼育した。飼育後、普通筋および血合筋を採取した。淡水、50%および100%海水飼育ウナギの普通筋における速筋型および遅筋型ミオシン重鎖遺伝子発現量をリアルタイムPCR法により定量した。血合筋についても同様の解析を行った。さらに普通筋および血合筋筋原線維に対して、抗速筋型あるいは遅筋型ミオシン重鎖抗体を用いたウェスタンブロッティングを行った。 普通筋における速筋型ミオシン重鎖遺伝子の発現量が、50%および100%海水で飼育した個体(海水飼育個体)では、平均で淡水飼育個体のそれぞれ4.2倍および1.7倍の値を示した。遅筋型ミオシン重鎖の発現量は、海水飼育個体では、平均で淡水飼育個体のそれぞれ6.6倍および44.9倍の値を示した。一方、血合筋における速筋型ミオシン重鎖の発現量は、海水飼育個体では、平均で淡水飼育個体のそれぞれ125分の1および500分の1の値を示し、遅筋型ミオシン重鎖の発現量は海水飼育個体では、平均で淡水飼育個体のそれぞれ10000分の1、1000分の1の値を示した。以上のことから、ウナギ筋肉では浸透圧ストレスによってミオシン重鎖アイソフォームの発現量が変化することが分かった。ウェスタンブロッティングの結果、ウナギ普通筋ではほぼ速筋型ミオシン重鎖しか存在しなかったものの、ウナギ血合筋には速筋型および遅筋型ミオシン重鎖の両方が存在することが分かった。
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Research Products
(1 results)