2011 Fiscal Year Research-status Report
現代の農業経営体に求められる経営倫理・社会的責任とその説明可能性及び評価方法
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23658183
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小田 滋晃 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70169308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四方 康行 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (20178859)
古塚 秀夫 鳥取大学, 農学部, 教授 (50132824)
北田 紀久雄 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (20120131)
香川 文庸 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10291238)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 農業会計 / 社会的責任 / 説明責任 / CSR / ガバナンス / 監査システム |
Research Abstract |
本研究の目的は、経営倫理や社会的責任という側面における経営体パフォーマンスの枠組み構築と集落・地域を基本としつつも社会一般に対してそれらの結果を開示・説明・評価する方法・可能性とについて理論的・実践的に明らかにすることにある。 この研究成果は農業会計学領域の拡張としてだけでなく、地域資源の持続可能性への貢献度評価や農業の担い手支援策を巡る評価等に対する指標開発にも応用でき、新たな研究領域として今後認識される必要がある。 今年度は、はじめに本研究全体の課題と方法及び各課題の位置づけ、役割分担の確認に関する研究会を開催し、各メンバー間で本研究の意義や方向性に関する共通認識を構築した。その上で、理論面に関しては、重要文献や学説に関する情報収集を行いつつ、各自が担当責任者となっている領域・課題との関連を意識しつつ、文献・理論研究を進めた。一方、事例分析に関しては、社会的責任行動を実践し、その情報開示を何らかの形で行っている事例の所在に関して関係機関に問い合わせるとともに、当該事例に関する基礎データの整理を進めた。 具体的な調査内容は以下の通りである。第一に、企業の会計、倫理について、特に企業化が行われている肉牛経営、酪農経営を中心に環境問題、地域との関わり(地域貢献)等について、EUの牧場と日本での取り組み等の比較研究を実施し、島根県、広島県を調査した。 第二に、農業の社会的責任を果たすために、農業経営に導入される経営管理システムであるという問題意識のもとに、日本の食品産業を中心に環境会計、CSR会計の動向調査を企業の報告書等に基づき行い、事例研究として、熊本県、愛知県、京都府、群馬県内で聞き取り調査および資料収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究遂行にあたり、共同研究者以外の研究者からの最新の情報提供や生産者及び関係者の理解・協力が得られたため、スムーズな調査を実施することが可能であった。この背景には、調査実施前より共同研究者間の密な連絡のやり取り、日程の調整、調査対象者との密なコンタクトを実施してきたことが大きいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な大枠として現在の研究計画をもとに研究を遂行していく予定である。ただし、農業経営体における経営倫理と社会的責任情報の開示に関する説明可能性とその評価方法は、日々変化・発展を遂げながらも農業現場において喫緊の課題となっている分野である。 そのため、調査事例に関しても、最新の情報を入手しながら調査地を選定していくことが必要と思われるため、若干の調査地の変更が強いられる可能性がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は初年度であったため、その大半を情報収集を中心とした現状把握に費やした。次年度以降は、本年度に行った調査を継続的に実施するとともに、先進的な事例の調査にも意欲的に取り組んでいきたいと考えている。 具体的には、農業部門に加え、農業関連部門(例えば、堆肥作りや在庫管理など)を有する企業における経営倫理や社会的責任に関する考え方の把握、社会に対する結果の開示・説明・評価が可能となる理論的枠組みの構築に力点を置きたいと考えている。 以上のことより、本研究を進めていくにあたり、新たな調査事例を追加せざるを得ない状況が生じることを念頭に置きつつ研究を遂行していく。
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Research Products
(5 results)