2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658186
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宮部 和幸 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (40409066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤島 廣二 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (70287449)
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Keywords | 食嗜好 / 青果物流通 / 食文化 |
Research Abstract |
わが国の青果物流通は、欧米諸国とは異質の特質を有しており、それは食嗜好の独自性によるものと考えられる。しかし、食育基本法の制定が必要なほどに食が乱れており、そのこととも呼応して、青果物流通の機能が脆弱になり、食文化の一層の退廃を招きかねない状況にある。食嗜好と青果物流通の関連性に着目することによって、これからのわが国の青果物流通のあり方を展望することができる。 本研究では、わが国の食嗜好と青果物流通の関連性の理論的検討を踏まえ、世界に冠たる料理大国とされるフランスとの比較検討を通して、食嗜好が規定する青果物流通の特質と、わが国の食文化に寄与する青果物流通のあり方を明らかにすることを課題とした。 食文化の基盤となるべくものが嗜好であり、その一形態である情報嗜好は、青果物の消費に大きく関わっており、そして流通のあり方さえも変化してきている。なかでもその食嗜好の均一化は、とりわけ、消費者の求める野菜の種類において、また生鮮、加工においてもみられるものである。 また、わが国の食文化は、その素材を如何に活かすかが調理で問われ、すなわち、煮る、焼く、蒸す、茹でる、炒める、揚げる、和えるといった基本的な調理方法で、多品種少量で、かつ鮮度を大切としている。 卸売市場をはじめとしたわが国の青果物流通は、こうしたニーズを応えうる優れた機能、特に品揃えの幅と深さを有している。市場はいわば日本の食文化を支える根本機能を有しているともいえよう。長寿とも結びついているわが国の伝統的な食文化が正しく評価されないままに食の乱れが生じている今日、青果物流通機能の質的低下を招きかねず、少なくとも将来を展望した流通機能の革新を追及する意欲を弛緩させかねない。品揃えの幅と深さを有した流通システムのこれからのあり方を提示することが重要となる。
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