2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658187
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 教授 (20196207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 貴浩 岩手大学, 農学部, 准教授 (00359499)
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Keywords | 灌漑水 / 臭素酸 / イネ / 成長阻害 / 酸化損傷 / デオキシグアノシン / 8-ヒドロキシ-デオキシグアノシン |
Research Abstract |
本研究では、イネに臭素酸を曝露させ、そのDNA中のデオキシグアノシン(dG)が酸化されて生成する8-ヒドロキシ-デオキシグアノシン(8-OH-dG)を酸化損傷の指標として分析し、灌漑水の栽培リスクの検出手法の確立を目指す。25年度は、24年度に引き続いて水耕栽培を行った。改良点は、70%アルコールで種子を洗浄すること、苗の選抜により初期成長を統一すること、養液を5日ごとに交換することで、栽培試験中のカビの発生を抑制し、27日間というより短期間での栽培実験を可能とした。臭素酸濃度は、0,5,10,15,20 mg-Br/Lの5段階とした。1回の栽培試験は、同条件3連で行い3回の実験を行った。地上部と地下部に成長阻害を目視による観察で確認するとともに、生長量(=収穫時の長さ-開始時の長さ)という数値データでも確認し、平均値としては、5 mg-Br/Lの濃度でも成長阻害作用を確認し、再現性も良好であった。簡便な栽培実験であるが、イネの性質上室温では冬季の実験は困難であった。 地下部についてdG、8-OH-dGの同時測定を行い、8-OH-dG/dGの比を指標として評価したところ、臭素酸濃度に対して酸化損傷指標である8-OH-dGは3回目の実験ではわずかに増加した。試料の冷凍保存期間と指標値には負の相関関係があり、収穫時に指標値を補正すると臭素酸濃度に対して指標値は数倍の増加となった。保存期間が分析値に影響する原因は不明であるが、8-OH-dG/dG比は、灌漑水のイネへの栽培リスクを検出できる可能性があることがわかった。今後もさらなる検討が必要である。 臭素酸の土壌への反応特性が未解明なため、バッチ実験を行った。1日程度の接触時間ではあまり吸着しないが、その後みかけの吸着率は急上昇した。吸着の増加に加え、臭素酸から臭化物への形態変化が生じていることがわかった。
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Research Products
(4 results)