2011 Fiscal Year Research-status Report
ベンゼン,トルエンに対して高い吸収能力を持つ植物の探索と大気浄化への利用
Project/Area Number |
23658205
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
谷 晃 静岡県立大学, 環境科学研究所, 准教授 (50240958)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | トルエン / ベンゼン / 大気浄化 / パーミエーター / メタクロレイン / ガスクロマトグラフ / 陽子移動反応質量分析計 |
Research Abstract |
葉切片を用いた短時間スクリーニング手法の開発について検討した.直径1 cmに切り取った葉切片を5 mLバイアルに入れ,内部に濃度が数ppmのベンゼンとトルエンを封入した.葉切片がバイアル内壁に付着し,ガス吸収を防ぐことのないよう,テフロンメッシュを葉片の保持に用いた.濃度が数ppmのベンゼンとトルエンは,特注ガラス管(長さ10 cm,直径2 mm)にこれら標品を数μL入れ,当研究室にあるパーミエーター内部で気化させ,希釈用空気と混合することで作成した.葉を入れたバイアルにこれら空気を封入する前に,蓋を開けたまま葉をこれら物質に暴露し,葉への溶解を進ませる.10分後に蓋を閉め,気温25℃,光合成有効光量子束密度(PPFD)が50 μmol m-2 s-1の条件下で静置した. バイアル内の空気1 mLを一定時間(2~5時間)後にシリンジで採取し水素炎イオン化検出器(FID)を装備したガスクロマトグラフ(GC)にて分析した.当初は葉を含まないブランクバイアルの濃度が一定にならなかったが,グローブボックス内のテフロン袋内でバイアルにガスを封入する2重構造をとることで,ブランク濃度を10%の範囲内に維持できた. 実験には,草本植物30種,木本植物20種を用いた.暴露ガスは,ベンゼン,トルエンに加えて含酸素VOCとして広く大気中に存在するメタクロレインを用いた.メタクロレインはほとんどの植物葉片で30~80%の濃度低下が認められた.ベンゼンとトルエンは,濃度低下が見られない植物が多かったが,数種の草本と木本植物で,両濃度が約30%低下した.リアルタイム測定器の陽子移動反応質量分析計(PTR-MS)を用いた実生苗の測定で,これらの植物がトルエンを吸収していることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画どおり,スクリーニング法を確立できた.
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Strategy for Future Research Activity |
さらに多種の植物をスクリーニングすると共に,吸収能力が認められた植物については,陽子移動反応質量分析計(PTR-MS)を用いた実生苗の測定により,ベンゼンとトルエンを効率的に吸収浄化できる植物を探索する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スクリーニングに用いるGCのランニングコスト(ヘリウムガス,水素ガス,カラム)や植物の苗の購入に物品費を主に充てる. 選抜した植物のベンゼンとトルエンの吸収速度の測定に用いる陽子移動反応質量分析計(PTR-MS)は,レンタルする. 研究成果を国内学会(9月,農業環境工学関連学会2012年合同大会)にて発表するために旅費を計上する. データ整理等にアルバイトを雇用する.
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