2011 Fiscal Year Research-status Report
キャピラリー電気泳動デバイスを用いた作物栄養診断用デバイス
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23658206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥居 徹 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (60172227)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 静電気 / 搬送 / 分注 / 混合 / 液滴 / 誘電泳動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、植物工場における作物のヘルスケアー管理として、作物に含まれるビタミン類の分析をリアルタイムで行うことを目的として、キャピラリー電気泳動装置とデジタルマイクロフルイディクデバイスを組み合わせたLab on a Chipデバイスの開発を目指すことである。デジタルフルイディクスの方式としては、エレクトロウェティングという方式がと片面電極により液滴を搬送する方式があるが今回は後者の方法を採用する。分析対象として水溶性サンプルと油溶性サンプルの2種類を想定した実験を行った。デジタルフルイディクス用電極として、分析前処理行程用として、2分注装置を具備することを想定して、2液が混合されるための扇形電極および混合後に搬送する平行電極を作成した。水溶性サンプルを分注するために、分注先端部としてガラスキャピラリー管を加工したものを用い、分注する液滴の玉離れを良くするための表面処理方法を検討した。ダイヤルゲージ式高さ調節機構により分注出口高さを精度良く設定した結果、電極面から0.3mmが最適な高さであることが分かった。試薬として酢酸バッファー、サンプルとしてタンパク質の一種であるリゾチームを用いて分注を行った結果、サンプル、試薬共に分注に成功した。分注された2液は扇形電極の中心部で合一し混合することが確認され、合一後の液滴の葉脳も可能であった。本方式による、液滴分注-合一までのプロセスを作製することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、電圧制御用にデジタル信号処理装置を用いて、高電圧電源を制御し、水溶性サンプルと親和性のない液相中に、サンプル液滴を電圧制御により分注、搬送することを目指す。そのための電極構造、パターン、分注装置について精査し、水溶性液滴の分注、搬送、合一、搬送の一連の動作を自動的に行うことを目指した。電極構造:作製できる最適な電極パターンを見いだすために様々なサイズの電極をエッチュングで作製した結果、電極幅0.4mm、ピッチ0.7mmの電極であるこを明らかにした。搬送:サンプルとして、タンパク質、試料のほかに試薬として塩類、バッファー類の液滴搬送ならびに合一のための基礎データーの取得を行った。また、汎用FEMを用いて、電場解析を行い、電極間に生じる電界強度を確認した。分注 液滴の分注に必要な基礎データーを取得した。電極面から一定の高さに設置するため、ダイヤルゲージを用いて調整を行った結果、電極下面から0.3mmの位置にあることを明らかにした。加圧はシリンジポンプで行ったが、分注量を微小化するため、分注針としてキャピラリー管をさらに微細化した針を用いた。針の高さを調整して最適な印加電圧、印加パターンを明らかにした。合一:分注後の液滴は、扇形電極を中心部に向けて進行し、扇中心で合一した。合一後の液滴も搬送することができた。上記、水溶性サンプルの分注-搬送-混合-搬送に成功したため、おおむね順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
水溶性サンプルの分注、搬送、混合については前年度に実施することができた。今年度は油溶性ビタミンサンプルの分注、分析を目指す。そのためには、水溶性サンプルでは、液相として油類を用いてきたが、油溶性サンプルの誘電率は水に比べてきわめて低いため、液相に用いる材料選定としていくつかのフロリナートを用いて試す。とくに、フロリナートノの比重は大きいため、有機系サンプル液滴は液相中を浮く。そのため、搬送中に位置制御することが難しいと考えられる。液滴の位置制御のために、摩擦力を利用する場合は、電極を底面ではなく上面に設ける必要があるため、液滴と電極面との絶縁膜としてテフロンテープを用いる。本デバイスを用いて、有機液滴の搬送を行うための基礎的なデーターを得ることを行う。これは、搬送出来る有機材料を見分けるためであり、液相であるフッ素系不活性液体の種類を代えて誘電率の効果を確かめる。また、電極などのデバイス構造の見直しを行うなどの基礎実験を行う。つぎに、システムとしてデバイス化するために装置全体の構造を決め、応用実験を行う。装置としては。材料を分注する装置、搬送合体する電極部、有機合成反応の観察部からなるデバイスを作成し、性能評価を行う。PIVによる、液滴中の混合過程を可視化も行う。予算の関係でキャピラリー電気泳動装置の導入は難しいが、サンプルの導入については検討していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
油溶性サンプルの分注、搬送、混合実験を中心に行うため、電極や実験試薬類等の消耗品および学会参加のための旅費を計上する。
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Research Products
(1 results)