2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大下 誠一 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00115693)
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Keywords | 水の構造化 / 蛍光 / キセノンガス / 気体水和物 |
Research Abstract |
ウラニン水溶液を高圧Xeガス状況下におき蛍光・透過光観察を行った結果、Xeが水溶液に溶解していく過程において、透過光画像上においては外見的変化・輝度値の変化は見られないが、蛍光画像においては輝度値が低下しているという状況が観察できた。このことから、透過光画像では視認できない水の構造化の程度を、蛍光画像の輝度値によって視認できることが明らかになった。 逆に、既に形成されているXe水和物の温度を上昇させ、水和物が解離する過程において蛍光・透過光観察を行った結果、水和物を形成する時と同様、透過光画像では視認できない変化を蛍光画像の輝度値によって視認できた。 一方、蛍光画像の部分的解析を行うことによって視野内の場所ごとの構造化の程度を定量的に示す試みは達成されていない。しかしながら、水和物が形成される前・後における視野内の場所ごとの蛍光画像に違いが見つけられれば、水和物の形成が空間的にどこから始まるのかを推察できると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キセノン水和物の形成過程の可視化を目指して、ウラニン水溶液中でのキセノン水和物の形成、解離時の蛍光画像の取得と植物細胞内での水和物形成部位の特定を目指した実験を行っている。水溶液系では基本データを取得できたが、植物細胞試料については、実験が遅れている。これは、顕微鏡観察用の耐圧試料容器に取り付けた石英ガラス(顕微鏡観察のための覗き窓)が圧力で破損したり、耐圧試料容器からの微少なガス漏れなどが生じたためである。 キセノン水和物が形成される条件を与えても、結晶が形成されるまでには10日を越える時間を要することが通常であり、1回の実験に時間を要するため、ガス漏れについては、顕微鏡観察用の耐圧試料容器のすべてのバルブ、圧力計、ステンレスチューブなどを総て交換する作業を行っている。繰り越す金額は、予備のバルブ、圧力計、石英ガラスなどの購入と現在保有しているキセノンガスの補填に充てる。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光画像の空間的に部分的な解析に関してはデータが不足している為、今後は構造化をより緩やかに進行させ、顕微鏡の視野を変えないように注意しつつ実験を行い、視野内の場所ごとの輝度値を算出する必要がある。 一方、蛍光画像の輝度値によって水の構造化の程度を推察することが可能であることが示されているが、水和物形成は圧力状況・温度状況を一定にしても、その形成に要する時間と過程が一定ではない。そのため、水和物形成過程そのものを捉えるのではなく、水和物形成が進行している周囲の蛍光強度の変化を捉えることにより、水和物形成前後の蛍光画像の変化を捉えることを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
顕微鏡観察用の耐圧試料容器のバルブ、圧力計、ステンレスチューブなどを総て交換することが必要で、交換用のバルブ、圧力計、石英ガラスなどの購入と、現在保有しているキセノンガスの補填に充てる。
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