2011 Fiscal Year Research-status Report
発酵食品副産物の高度活用戦略;健康と環境を守る「イムノエコフィード」の基盤創成
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23658216
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北澤 春樹 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10204885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻生 久 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50241625)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | イムノバイオティクス / 家畜 / 腸管上皮 / ブタ / ウシ / 腸管パイエル板 / 飼料 / 免疫 |
Research Abstract |
【研究の目的】 本研究は、未活用資源としての乳酸菌発酵液の高度有効利用法について、特にイムノバイオティクスやイムノジェニクスに着目し、健康危害リスクの軽減に貢献する家畜飼料抗菌剤代替のための新たな「イムノエコフィード」としての活用基盤を構築する。本年度は、乳酸菌発酵液の安全性とブタ腸管における免疫機能性について検討した。【研究成果】1.乳酸菌発酵液の成分分析および安全性試験 1)乳酸菌発酵液中の乳酸菌の分離・同定:MRS 寒天培地により乳酸桿菌を分離し、分離乳酸菌について、16srDNA によるホモロジー解析等により菌種を同定した。2)発酵液中の菌体以外の成分分析:一般成分分析を行い、機能性成分としての多糖体を分画した。3)安全性試験:発酵液の急性経口毒性について検討し、安全性が確認された。2.ブタ腸管免疫における機能性評価 ブタ腸管リンパ球活性化:ブタパイエル板および腸間膜リンパ節由来の免疫担当細胞において、発酵液のリンパ球幼若化活性が認められた。さらに、炎症性、抗炎症性および調節性サイトカインの発現が解析できた。以上の結果から、乳酸菌発酵液の安全性とブタ免疫調節機能性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未活用資源としての乳酸菌発酵液の高度有効利用法を目指し、本年度は、乳酸菌発酵液の安全性とブタ腸管における免疫機能性について検討することを目的とした。震災の影響で、本格的な試験研究の開始が遅れたが、予定していた項目については、ほぼ終了することができた。さらに一部の成果については、学術論文として公表することができ、来年度の研究につながる基礎を築くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、前年度の研究成果を基礎として、インビボ実証試験と免疫調節機構解明を行う。具体的には、以下の件研究を行う。1.インビボ実証試験 (1)発酵液給与試験において、下痢発症程度を観察し、糞便中の下痢原性大腸菌の検出を行う。また、血液の各種検査(C反応性タンパク質濃度、抹消血免疫能評価)を合わせて、抗炎症性を総合的に評価する。(2) 離乳時から出荷時までの増体量変化と出荷時枝肉成績において、背脂肪厚や枝肉格付け等から産肉性を評価する。(3) 肉質向上について評価する。2.免疫調節機構解明(1)パターン認識受容体を介する活性発現:ブタToll様受容体2および4の強制発現細胞を用い、分離乳酸菌および多糖成分のパターン認識受容体を介する免疫活性について検討し、受容体とリガンドとの関係から、活性本体(イムノジェニクス)の特性化を行う。(2)抗炎症機構解明:ブタ腸管免疫における炎症調節に関わる機構を基礎として、分離乳酸菌および多糖成分の上皮細胞におけるパターン認識受容体を介する抗炎症機能とその機構解明を行う。以上の2年間の研究により、未利用の乳酸菌発酵液の「イムノエコフィード」としての開発基盤を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は、震災の影響もあって、一部のインビトロ試験の繰り返し実験に制約が出たため、「次年度に使用する予定の研究費」生じた。従って、本年度は、免疫調節機構解明を行う上で、当該研究費を合わせて再現性試験を行い、研究計画を確実に遂行したい。具体的な研究費の使用計画は以下の通りである。 全体:物品費125万円(内訳:一般試薬10万円、生化学試薬20万円、免疫関連試薬35万円、分子生物関連試薬40万円、プラスチック製品20万円)、旅費20万円、謝金35万円、その他10万円 研究項目内訳:1.インビボ実証試験 (1)発酵液給与試験45万円、(2)産肉性評価試験15万円、(3)肉質向上評価試験25万円、2.免疫調節機構解明 (1)パターン認識受容体を介する活性発現50万円、(2)抗炎症機構解明55万円
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Research Products
(2 results)