2011 Fiscal Year Research-status Report
卵成熟抑制因子群の最上流因子同定による減数分裂休止機構の全体像解明とIVM法改善
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23658236
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 英明 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80093243)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 卵子 / 卵成熟抑制 / 減数分裂休止 / c型ナトリウム利尿ペプチド / IVM法 / Akt / 体外成熟卵子 |
Research Abstract |
新規GVBD抑制因子を同定し、その作用機序を明らかにすることにより減数分裂再開始の分子メカニズムの全体像を明らかにすることを目的として実験を行い、下記の成果を得た。1)ブタ顆粒層細胞とマウス卵丘細胞-卵母細胞複合体の共培養系を構築し、この系を用いたマイクロアレイを行うことにより、遺伝子の網羅的発現解析を行い、候補因子の選抜を行った。その結果、GVBD抑制因子であるcGMPの産生作用を有するC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)とアドレノメジュリン(ADM)を候補因子として選抜した。2)CNPの受容体であるnpr2 mRNAは卵毋細胞を覆う卵丘細胞のみで発現が確認され、CNPの標的が卵丘細胞であることを明らかにした。実際にCNPの添加によりブタ、マウス両種の卵毋細胞でGVBDの抑制が観察されたことから、CNPがGVBD抑制因子であることを明らかにした。3)ADMはマウスにおいてその受容体および活性修飾因子のmRNAが卵丘細胞に発現しており、さらに免疫組織染色により発達した卵胞内で強く発現していることを示した。これ等の結果から、ADMが卵丘細胞を標的に作用する可能性が示されたが、ADMの添加によるGVBD抑制は観察されなかった。しかし、卵胞内では高濃度の一酸化窒素(NO)が存在していることから、ADMをNOのドナーと共に添加すると、有意なGVBD抑制作用を示した。4)卵丘細胞においてADMの下流で機能する因子を特定するためにAkt、FAK、MAPKの阻害剤を用いたところ、Aktを阻害した場合のみにGVBD抑制作用の解除が観察され、ADMの下流でAkt経路を介した経路がGVBD抑制に機能していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って順調に進展している。本研究により減数分裂休止機構の中の最上流因子を同定することができた。これは滅数分裂休止メカニズム解明において大きな進展と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
減数分裂休止の最上流因子が予想外に2つ存在することが明らかになった。この2つの因子がどのように協調して作用するのか、さらに2つの因子の産生、分泌を制御するのは何かを明らかにすることにより、減数分裂休止のメカニズムはより明確になると推察される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
このメカニズム解明は卵母細胞の死滅や卵胞閉鎖とも相関すると推察され、さらに研究を進め、優れた雌家畜の高度利用に資する技術開発につなげたい。
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