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2011 Fiscal Year Research-status Report

環境適応プログラム形成の分子メカニズム―生殖系列内エピゲノム修飾変異の探索―

Research Project

Project/Area Number 23658237
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

大迫 誠一郎  東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00274837)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywordsエピジェネティクス / 生殖細胞 / 肝臓 / 進化 / 薬物代謝酵素
Research Abstract

中立説が強調したことの一つに、「遺伝子と表現型は必ずしも一致せず、表現型は環境によって影響され、全く同じ遺伝子でも表現型は異なる」というものがある。個体発生あるいは成熟後においても環境の作用で表現型に差が生じる分子機構は定かでない。本研究では申請者が保持している「環境因子によりエピゲノム変動を起こすモデル」として、環境汚染化学物質曝露ならびに低栄養環境飼育下でCpGメチル化変動を起こすマウス実験系と、独自開発の高感度ゲノムメチル化網羅的解析法を駆使して、生殖系列を介した後世代へのエピゲノムインヘリタンスの実証を試みる。 サブテーマI)後世代インヘリタンスの検出の試み(生殖系列エピゲノム解析):再現性のある継世代影響モデルの確立を目指し、なおかつその標的と考えられる生殖細胞における遺伝子のエピゲノム変化プロファイルを明確にすることで、種の環境適応戦略の一端を明らかにする。サブテーマII)環境適応プログラム形成の方向性に関する分子機構解明:生殖細胞内で生じたエピゲノムの変化が生じる過程に関与する因子の機能解析を、分離した生殖細胞を用いて関与する因子の機能解析を試みる。 これまでの解析から標的とした薬物代謝酵素遺伝子CYP1A1のメチル化頻度は、第二世代の仔の肝臓においては非曝露の家系と同一レベルであるこというデータがでたため、解析する臓器や細胞を様々に検討する必要があると思われた。また、第一世代の肝臓内DNA低メチル化に関してはDnmt1ならびにDnmt3bの機能阻害が関与することが示唆されるデータを得た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究は下記の2つのサブテーマについて研究を実施するが、これまでの状況を下記に示す。サブテーマI)後世代インヘリタンスの検出の試み(生殖系列エピゲノム解析) 継世代影響モデルの確立のため、その標的と考えられる生殖細胞における遺伝子のエピゲノム変化プロファイルを明確にすることを目的とする。このため、胎生期ダイオキシン(TCDD)曝露により生まれた仔が成熟したのち、正常な雌に交配させて生まれた個体のエピゲノムを比較した。精巣上体精子、肝臓、腎臓の比較を行ったが、解析したCYP1A1プロモーター上流約500に位置するCpGのメチル化頻度は対照群とほぼ同じであった。細胞分取技術での生殖細胞を分取する計画は、組換え動物室施設の問題で遺伝子改変動物導入に大幅な遅れが生じている。サブテーマII)環境適応プログラム形成の方向性に関する分子機構解明 生殖細胞内で生じたエピゲノムの変化が生じる過程に関与する因子の機能解析をまずヘパトーマ細胞等で行い、分離した生殖細胞を用いて関与する因子の機能解析を試みることを目的とする。まず、ヘパトーマ細胞で低メチル化が起きるか検討したが、使用したHep1c1c7(マウスの肝臓癌細胞)では対象領域のCpGはほとんどメチル化されておらず、個体で観察されるメチル化頻度が観察されなかったため、モデルとして使用するのに適当でないことが判明した。そこで、出生直後の肝臓においてTCDDを曝露した場合の低メチル化を観察したところ出生3日目から差が生じ始めることがわかった。このサンプルを用いDNAメチル化転移酵素3種について結合レベルをChIPアッセイで調べたところ、Dnmt1とならびにDnmt3bの結合がTCDDにより有意に低下することがわかった。

Strategy for Future Research Activity

サブテーマI)後世代インヘリタンスの検出の試み(生殖系列エピゲノム解析):これまので網羅的CpGメチル化解析法の難点は、メチル化感受性制限酵素を使用した場合でも、非メチル化CpGサイトを持つ断片との差異により検出を行うため、1サンプルに対する解析が煩雑かつ定量性に信頼性のない点であった。そこで、独自開発したメチル化CpGサイトを持つDNA断片のみの増幅法(米国仮出願済み2010)をベースに、高解像度シーケンサーを用いたメチル化DNA部位プロファイル技術の開発を行う。また今回使用するC57BL/6Jマウスは全ゲノム情報の整備されており、検出されるピーク位置からコンピューターシュミレーションによるクロモゾーム上での位置同定が可能である。したがって、既存のメチル化感受性制限酵素サイトのメチル化レベルを全ゲノムで容易に解析でき、近年の次世代シーケンシング等にくらべ遙かに簡易に解析できる可能性がある。初年度の動物実験を継続しつつ、回収したDNAのCpGメチル化頻度比較を網羅的に行う。サブテーマII)環境適応プログラム形成の方向性に関する分子機構解明:前年度に引き続き各種リモデリング因子の動的変化を標的遺伝子のメチル化変化を指標に解析して、低メチル化機構を解明する。またサブテーマIで捉えられると予想されるメチル化ステータスの変化する遺伝子に関して、生殖細胞内における変動を分離した生殖細胞を用いて同様の手法で解析する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

サブテーマI)後世代インヘリタンスの検出の試み(生殖系列エピゲノム解析):開発する網羅的CpGメチル化解析法のさらなる精度向上のために、ラベリング用試薬やメチル化感受性制限酵素を用いた定量PCRを繰り返す必要がある。サブテーマII)環境適応プログラム形成の方向性に関する分子機構解明:動物実験による次世代影響の解析に早期に遺伝子改変動物導入を行うとともに、コンベンショナルな個体を用いた解析も実施する。必要経費:試薬類:分子生物学実験用試薬(600千円)、実験動物購入飼育(320千円)、人件費:実験補助(日給10,000円×1名×25日×1年=250千円、データ整理:日給10,000円×1名×25日×1年=250千円)、印刷費(50千円)、輸送費(100千円)、合計1570千円

  • Research Products

    (6 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Multi-parametric profiling network based on gene expression and phenotype data: A novel approach to developmental neurotoxicity testing2012

    • Author(s)
      Nagano R., Akanuma H., Qin X-Y., Imanishi S., Toyoshiba H., Yoshinaga J., Ohsako S., and Sone H.
    • Journal Title

      International Journal of Molecular Science

      Volume: 13 Pages: 187-207

    • DOI

      doi: 10.3390/ijms13010187

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Perinatal exposure to environmental chemicals induces epigenomic changes in offspring2011

    • Author(s)
      Ohsako Seiichiroh
    • Journal Title

      Genes and Environment

      Volume: 33 Pages: 43-49

    • DOI

      doi:10.3123/jemsge.33.43

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 環境汚染化学物質の周産期曝露による表現型変化―エピジェネティクスと環境毒性学―2012

    • Author(s)
      大迫誠一郎
    • Organizer
      日本獣医学会(招待講演)
    • Place of Presentation
      大宮ソニックシティ(埼玉県)
    • Year and Date
      2012年3月28日
  • [Presentation] 胚性幹細胞試験を用いたメチル水銀の神経発生毒性の影響評価2012

    • Author(s)
      大迫誠一郎,永野麗子,何小明,今西哲,赤沼宏美,山根順子,藤渕航,曽根秀子
    • Organizer
      日本衛生学会
    • Place of Presentation
      京都大学(京都府)
    • Year and Date
      2012年3月28日
  • [Presentation] 胎生期ダイオキシン曝露による仔のエピゲノム変化の解析2012

    • Author(s)
      青木礼恵,栗田尚佳,遠山千春,大迫誠一郎
    • Organizer
      分子予防環境医学研究
    • Place of Presentation
      倉敷市民会館(岡山県)
    • Year and Date
      2012年1月26日
  • [Presentation] 環境汚染物質の胎生期曝露による生後の化学発癌感受性亢進とエピゲノム変化2011

    • Author(s)
      大迫誠一郎
    • Organizer
      日本人類遺伝学会(招待講演)
    • Place of Presentation
      幕張メッセ(千葉県)
    • Year and Date
      2011年11月10日

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Published: 2013-07-10  

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