2013 Fiscal Year Annual Research Report
環境適応プログラム形成の分子メカニズム―生殖系列内エピゲノム修飾変異の探索―
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23658237
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大迫 誠一郎 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00274837)
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Keywords | エピジェネティクス / 生殖細胞 |
Research Abstract |
中立説が強調したことの一つに、「遺伝子と表現型は必ずしも一致せず、表現型は環境によって影響され、全く同じ遺伝子でも表現型は異なる」というものがある。個体発生あるいは成熟後においても環境の作用で表現型に差が生じる分子機構は定かでない。本研究では申請者が保持している「環境因子によりエピゲノム変動を起こすモデル」として、環境汚染化学物質曝露ならびに低栄養環境飼育下でCpGメチル化変動を起こすマウス実験系と、独自開発の高感度ゲノムメチル化網羅的解析法を駆使して、生殖系列を介した後世代へのエピゲノムインヘリタンスの実証を試みた。 サブテーマI)後世代インヘリタンスの検出の試み:再現性のある継世代影響モデルの確立を目指し、なおかつその標的と考えられる生殖細胞における遺伝子のエピゲノム変化プロファイルを明確にすることを試みた。これまでの実績:標的とした薬物代謝酵素遺伝子CYP1A1のメチル化頻度は、第二世代の仔の肝臓においては非曝露の家系と同一レベルであるこというデータがでたため、解析する臓器や細胞を様々に検討する必要があると思われた。 サブテーマII)環境適応プログラム形成の方向性に関する分子機構:生殖細胞内で生じたエピゲノムの変化が生じる過程に関与する因子の機能解析を分離した生殖細胞を用いて関与する因子の機能解析を試みた。エピゲノムの変化が生じる過程に関与する因子の機能解析を、まずヘパトーマ細胞等で行い関与する因子の機能解析を試みた。まず、ヘパトーマ細胞で低メチル化が起きるか検討したが、使用したHep1c1c7では対象領域のCpGはほとんどメチル化されておらず、個体で観察されるメチル化頻度が観察されなかったため、モデルとして使用するのに適当でないことが判明した。また、第一世代の肝臓内DNA低メチル化に関してはDnmt1ならびにDnmt3bの機能阻害が関与することが示唆されるデータを得た。
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Research Products
(1 results)