2011 Fiscal Year Research-status Report
リーシュマニア原虫感染防御における微小環境の影響に着目したTh1細胞活性化の解析
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23658238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 安喜 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90251420)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Leishmania major / 経鼻免疫 / 尾根部感染 / 足蹠部感染 / 所属リンパ節 / 蛍光染色 / Leish-111f |
Research Abstract |
平成23年度は、(1)原虫染色法の確立と、(2)非免疫マウスにおける尾根部および足蹠部への蛍光標識原虫の感染と蛍光標識原虫貪食抗原提示細胞の所属リンパ節への移行の観察を行った。(1)10%FCS-199培地で維持培養した原虫(Leishmania major PM2株およびFriedlin株)をPKH26と混合後、10分から30分室温で静置すると、ほぼすべての原虫が染色されることが分かった。(2)(1)で作製した蛍光色素標識原虫と、既に作製されたEGFP遺伝子導入L. major PM2株を無処置マウスの尾根部および足蹠部へ接種し、経時的に所属リンパ節を回収し、移入している原虫を蛍光観察した。EGFP原虫は、原虫が破壊されると蛍光を発しなくなるため、貪食されていない原虫か、貪食されたが、マクロファージ内で感染維持されている原虫が観察される。足蹠部接種の場合、所属リンパ節である膝窩リンパ節には、どの観察時間においても、量の多寡はあれ、原虫が観察された。一方、尾根部接種時の所属リンパ節である、鼠径リンパ節では、原虫が観察できないこともあり、観察できた時も、膝窩リンパ節に比べ、数が少なくなっていた。PKH26は、染めた原虫のみならず、原虫を貪食し、分解した細胞をも赤く染めるため、観察された蛍光は、原虫と、原虫を貪食した細胞を表していると考えられる。PKH26染色原虫を感染させた場合、足蹠部接種の膝窩リンパ節では、常に大量の赤い細胞が、リンパ節全体、特に T細胞領域と思われる部分に分布していた。一方、尾根部接種の鼠径リンパ節では、1~3時間ではほとんど細胞が観察されず、6時間以降、細胞が観察され始めてからも、輸出リンパ管付近と思われるくぼみのみに観察され、週単位の時間がたったあとでも、この状態は変わらなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、経鼻免疫マウスにおける所属リンパ節内の原虫動態を観察する予定であったが、平成23年度は、条件検討のため、非免疫マウスを中心として実験を行った。経鼻免疫マウスへの感染実験は、平成24年度に計画している。十分に研究計画を遂行できる範囲であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初計画の通り遂行する予定である。初めに経鼻免疫マウスに蛍光染色原虫を感染させ、所属リンパ節における原虫動態を経時的に観察し、非免疫マウスと経鼻免疫マウス、また鼠径リンパ節と膝窩リンパ節の間で比較する。その後、非免疫および経鼻免疫マウスの所属リンパ節における、Th1細胞の誘導の比較および、所属リンパ節内樹状細胞の抗原提示能を比較することを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、マウス感染実験を多数行うため、マウスおよびサイトカイン測定キットなどの物品を購入する。また成果発表を計画しているので、旅費とその他(論文投稿費用)を計上した。さらに、フローサイトメーターを用いた解析などを行うため、実験補助を雇用する費用を計上している。予算は、研究を遂行するに当たり、妥当な金額であると考える。
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