2011 Fiscal Year Research-status Report
脳炎フラビウイルス感染による中枢神経障害の生体内リアルタイムイメージング解析
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23658243
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
早坂 大輔 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (10346926)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 病態 / ウイルス性脳炎 / 分子イメージング |
Research Abstract |
脳炎ウイルス感染での病態解明を目指した23年度研究目的のうち特にSPECT/PETによる分子イメージングのための予備的な研究を行った。1. 重症化に関わるバイオマーカーの特定C57BL/6 (B6)マウスに日本脳炎ウイルス(JEV)を感染させ、経日的に尾採血し血清中のサイトカインを測定したところ、致死個体では致死1-2日前からIL-1α、IL-6、IL-10の上昇が示唆された。今後、実験個体数を増やして確認する必要があるが、この結果は感染マウスの病態・予後を生きたまま観察する際に重要な情報となり、24年度に予定される分子イメージング解析との相互解析において有効であった。2.重症化に関わる中枢神経組織の免疫応答解析JEVをTNFα KO B6マウスに感染させたところ、致死率がB6マウスでは26.7%に対しTNFα KOマウスでは77.3%と上昇した。ところが、脳内ウイルス量に大きな差がみられなかった一方、TNFα KOマウスではIFNγ, IL-2, IL-4, IL-6などの炎症性サイトカインのmRNA発現量がB6マウスにくらべ大幅に上昇していた。これらの結果からTNFαは中枢神経組織の炎症において免疫応答の抑制・調節の役割を担っていること、TNFα KOでは活性化された免疫応答が重症化に関わっていることが示唆された。これらの研究成果は24年度に予定される免疫細胞をターゲットとした分子イメージング解析において有効であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分子イメージングに用いるSPECT/PET装置の納入が年度末になってしまい、さらにSPECT/PET装置を設置したBSL2/3施設が年度内に稼働できなかったため、主体となる分子イメージングができず、23年度内の研究目的の達成度は遅れている。しかしながら、SPECT/PET装置を用いた解析以外の予備的な研究についてはほぼ終わっており、24年度中に最終的な目的を達成するためのスムーズかつ早急な研究準備は整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度はじめにおいてSPECT/PET装置が設置され稼働できるようになったため、24年度は23年度に予定されていたPET/SPECTを用いた分子イメージングも合わせて行う。その際、本研究のエフォートを当初の設定より増やせる見込みがついたため、当初の研究目的を達成できる見込みである。はじめに、18F-FDGを用いたPET解析により、JEVおよびダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)感染マウスの中枢神経組織における機能変化、炎症部位が観察されるかを検討する。次いで99mTcO4や 111In-DTPAを用いたSPECT解析により、ウイルス感染後の中枢神経組織における血流・血液量や脳脊髄液循環動態の測定を試みる。また、ウイルス感染後の中枢神経組織に特異的に浸潤している免疫細胞を特定し、この細胞に対する特異的なマーカーを標的とするSPECT薬剤の合成を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は23年度に予定されていたPET/SPECTを用いた分子イメージングも合わせて行い、研究費はSPECT・PET 解析に用いる放射性薬剤の購入経費、動物の購入費、施設使用料、飼料・床敷代など、培養細胞実験のために試薬類、ディスポのプラスチック製品など、また、研究成果発表および共同研究打合せのための旅費、論文投稿に使用する予定である。
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