2011 Fiscal Year Research-status Report
過塩素酸酸可溶性蛋白質を標的とした新規抗がん剤開発の基礎研究
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23658244
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
叶内 宏明 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (10351884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤木 誠 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (60305167)
刀袮 重信 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70211399)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | タンパク質高次構造変化 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
過塩素酸可溶性タンパク質 (PSP) を標的とした抗がん剤の開発を目的としている。PSPは細胞増殖抑制活性を有していることが示唆されており、その活性は蛋白質レベルで調節が行われていると推測している。23年度はラット部分肝切除を行った後の肝臓再生過程で、PSPタンパク質の性質の変化を検討を試みた。肝重量の2/3を摘出する手術を12匹のラットに施した。術後1、2、4、7日目に屠殺して肝臓を摘出し重量を測定した。PSPの高次構造の変化(三量体から単量体、単量体から三量体)を検討するため、肝臓ホモジネートを作製してゲルクロマトグラフィーによる分画を行った。切除を行っていない肝臓(15g)では三量体の分子量である45K付近に、切除後1日目の肝臓(7g)および2日目の肝臓(11g)では単量体の分子量に相当する14K付近にPSPは分画された。切除後4日および7日目で、切除前とほぼ同じ重量(4日目14g、7日目16g)となった。4日および7日目では分子量が45K付近にPSPタンパク質は分画された。偽手術を行った肝臓ではいずれの日数においてもPSPは45K付近に分画された。増殖していない状態でPSPは三量体であり、増殖中は単量体で存在している可能性が示された。このPSPの高次構造変化にリン酸化が伴っているかどうかを検討したが、いずれの状態においてもリン酸化は認められなかった。また、PSPは小胞体ストレス下で核内に移行することが明らかにされている。切除前後の肝臓のPSPの細胞内局在を免疫組織化学的検討で評価したが、肝再生過程においてPSPの核内への移行は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲル濾過クロマトグラフィーによるタンパク質分離条件の検討に予定よりも時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
PSP三量体化抑制分子 PSPの3次高次構造を阻害する可能性のある分子としてサルファグアニジンを見出している。サルファグアニジンが実際にPSPの高次構造に影響を及ぼすか否かをin vitroの実験で検証する。また、PSPの過剰発現は細胞増殖を顕著に抑制する。PSP過剰発現時にサルファグアニジンを添加した場合に細胞増殖率がどのように変化するか明らかにする。PSP三量体化促進因子(1)PSPと相互作用のあるタンパク質の同定を試みる。23年度作製した肝摘出前の肝臓と摘出後2日目の肝臓ホモジネートをサンプルとして、抗PSP抗体を用いた免疫沈降を行う。SDS-PAGEで分離後、銀染色を行う。検出されるタンパク質をin gel digestionにてペプチド断片化し、TOF-MSによって質量を同定する。得られた結果からそのタンパク質を同定する。肝細胞増殖期と増殖期でPSPと相互作用する分子の比較を行う。(2)PSPの三量体化を促進する分子の探索を行う。基質として単量体であることが明らかとなっている、リコンビナントPSPを用いる。リコンビナントPSPが肝臓ホモジネートを添加した後に三量体へ変化するかを明らかにする。変化が認められた場合はクロマトグラフィーによる分画を進めてPSPの三量体化に必要な画分を分離する。含まれるタンパク質を(1)と同様にTOF-MSによって同定する。(3)上記二つの実験で明らかとなる分子をsiRNAを用いて培養細胞中でノックダウンを行い、PSPの高次構造に変化が認められるかを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養細胞の取り扱いに必要な消耗品を15万円、タンパク質同定にかかる費用として20万円、一般生化学実験に必要な消耗品として20万円、siRNA購入費として20万円、プラスチックおよびガラス等消耗品として10万円、学会発表等の成果公表費用として13万円。
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Research Products
(3 results)