2012 Fiscal Year Research-status Report
イヌがん幹細胞の分離法と遺伝子解析に基づいた治療法の開発
Project/Area Number |
23658255
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
嶋本 良則 北里大学, 獣医学部, 助教 (30552046)
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Keywords | がん幹細胞 |
Research Abstract |
本研究は、犬の悪性腫瘍に対するがん幹細胞をターゲットとした新たな治療法開発を目的とする。犬がん幹細胞の分取・培養、遺伝子解析に基づき、がん幹細胞特異的に発現が見られる分子に対する分子インプリントポリマーを作製し、がん幹細胞を特異的に攻撃する治療薬を作製する予定である。犬がん幹細胞の分取には、ヒトがん幹細胞で発現が報告されているCD133オルソログに対するモノクローナル抗体を用いたソーティングが不可欠であると考える。これまでいくつかの犬悪性腫瘍組織でCD133の発現を確認後、このタンパクを大腸菌発現系を利用して抗原とし、それに対するモノクローナル抗体を作成してきた。 前年度作成したHisTag-CD133融合タンパクに対するモノクローナル抗体は発現タンパクを認識するも、犬骨髄細胞の膜画分中のネイティブなタンパクを全く認識できなかった。これは、HisTagを用いた大腸菌発現系がCD133のコンフォーメーションを変化させたためネイティブなタンパクを認識出来なくさせている可能性が考えられたため大腸菌発現系を変更した。当該年度はCD133-GST融合タンパクを発現・精製しこれに対するモノクローナル抗体を作成した。作成されたモノクローナル抗体全ては、発現タンパクは認識出来たが犬骨髄細胞のネイティブなタンパクは認識不可能であった。これらの結果は、発現に用いられた領域はネイティブなタンパクを認識しにくい領域であった可能性がある。現在これまでとは別領域のタンパクを発現・精製し、モノクローナル抗体を作成中である。加えて、CD133以外のがん幹細胞マーカー候補分子に対するモノクローナル抗体も予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
24年度中にFACSソーティング用の抗犬CD133モノクローナル抗体を作成し、犬がん幹細胞分取・培養、遺伝子解析する予定であった。しかし、現在までに作成した抗犬CD133モノクローナル抗体全ては、大腸菌発現タンパクを認識出来るが犬骨髄細胞膜画分中のネイティブなCD133タンパクを認識出来なかったため、FACSソーティングには利用できないことが判明したため。
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Strategy for Future Research Activity |
1)CD133に対して従来とは別の領域をターゲットにしたタンパクを大腸菌で発現させ、それに対するモノクローナル抗体を作成する、あるいは2)犬がん幹細胞特異的に発現が予想される他の抗原をターゲットにしたモノクローナル抗体を作成し、がん幹細胞の分取・培養までを行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モノクローナル抗体作成のための免疫動物(マウス)、プラスティック製品、試薬に加え、がん幹細胞分取・培養用プラスティック製品、試薬等に経費を充当する。
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