2013 Fiscal Year Annual Research Report
イヌがん幹細胞の分離法と遺伝子解析に基づいた治療法の開発
Project/Area Number |
23658255
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
嶋本 良則 北里大学, 獣医学部, 助教 (30552046)
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Keywords | がん幹細胞 |
Research Abstract |
悪性腫瘍性疾患は、抗がん剤や放射線に対する抵抗性のため未だ根本的治癒に至っていない。本研究はイヌの悪性腫瘍に対するがん幹細胞をターゲットとした新たな治療法開発を目的とする。犬がん幹細胞の分取・培養、遺伝子発現解析に基づき、がん幹細胞特異的に発現が見られる分子に対する分子インプリントポリマーを作製し、がん幹細胞を特異的に攻撃する治療薬を作製する予定である。犬がん幹細胞の分取には、ヒトがん幹細胞で発現が報告されているCD133オルソログに対するモノクローナル抗体を用いたソーティングが不可欠であると考えた。これまで、 a) イヌの数種の悪性腫瘍組織においてCD133mRNAの発現が観察された。このことはイヌの悪性腫瘍においてもがん幹細胞が存在する可能性を示すものである。 b) イヌCD133の細胞表面が予想される領域数カ所に対して大腸菌発現タンパクを作製した。これらに対する抗イヌCD133モノクローナル抗体を作製したが、大腸菌発現タンパクを認識するも、イヌ骨髄膜画分中のCD133タンパクを認識しなかった。骨髄膜画分中での発現量が少ない可能性を考慮し、哺乳類細胞HEK293でイヌCD133-HA融合タンパクを強制発現させ、このタンパクを認識するかを検討した。しかし、得られたモノクローナル抗体はこの発現タンパクを認識しなかった。糖鎖付加による抗原認識の阻害が予想されたため、現在哺乳類細胞発現系を用いたイヌCD133タンパクの発現・精製を行っている。 c) 一方CD133以外のがん幹細胞マーカー候補分子CD29にも着目し、同様にイヌ抗CD29モノクローナル抗体を作製した。この抗体は免疫組織化学にて間葉系幹細胞を認識することが判明した。今後、この抗体が細胞分離用抗体として利用可能か否か検討を予定している。
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