2011 Fiscal Year Research-status Report
遺伝的形質に基づく生体内エキソソーム形成制御法の開発と免疫介在性疾患への臨床応用
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23658257
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 耕太 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (50283974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 睦 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (00183179)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | エキソソーム / 脂質ラフト / 赤芽球 / 網状赤血球 / 日本犬 / 遺伝 |
Research Abstract |
本研究では、様々な生理的および病態生理学的意義を持つ生体内エキソソームについて、その形成機構およびその人為的制御法を開発することを目的に、遺伝的に赤血球成熟時のエキソソーム形成に異常が見られる日本犬の家系を用いて、その原因遺伝子の解明およびその機能解析を行った。本年度は特に原因遺伝子の解明を重点的に実施し、遺伝的にエキソソーム形成異常を示す犬について全ゲノム一塩基多型関連解析を実施し、約10の候補遺伝子を含む約0.2 Mbの領域を同定した。この内、骨髄赤芽球系細胞において発現が見られる遺伝子について塩基配列の解析を進めており、当該形質に関与する原因遺伝子の探索を行なっている。 また、原因遺伝子の機能解析および発現動態の解析を目的に、犬末梢血由来造血幹細胞の体外培養法とその赤芽球分化誘導法の確立について検討を行い、エリスロポエチン刺激後およそ2週間で正染性赤芽球の形態を示す細胞まで分化させることができた。しかしながら、脱核を伴う網状赤血球の形成および成熟赤血球までの成熟を再現することは困難であった。現在、この細胞培養系を用いて細胞表面マーカーを用いた成熟度の評価法および遺伝的なエキソソーム形成異常の分子機構について検討するための各種遺伝子発現量の定量的な比較を正常犬を対照として実施しているが、現在までに明らかな成熟異常は本培養系では確認できなかった。今後、さらに原因遺伝子の同定を起点に、エキソソーム形成の分子機構について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は主に日本犬に見られるエキソソーム形成異常症についてその原因遺伝子の同定を目的に研究を実施したが、約10遺伝子までに候補遺伝子が絞られたことから、概ね本年度の目標を達成できたと考えられる。また、原因遺伝子の機能解析およびエキソソーム形成機構の解明に応用する犬末梢血由来造血幹細胞培養法の確立についても、赤芽球への分化過程が観察されることから、目的を達成するための手法としては、おおむね達成できたものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究の推進方策は、原因遺伝子の同定およびその機能解析を速やかに実施し、エキソソーム形成異常症を呈する日本犬における表現型発現の分子機構を出来るだけ早く明らかにすることである。これまでの網状赤血球を用いた検討から、エキソソーム形成の場となる脂質ラフトの形成異常があることが示唆されているが、ラフト構成脂質分子と原因遺伝子産物との相互作用を明らかにし、その人為的な制御法を確立するために、原因遺伝子産物のドメイン構造と機能との関連を明らかにすることにより、創薬につながる相互作用を見出す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
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