2012 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的形質に基づく生体内エキソソーム形成制御法の開発と免疫介在性疾患への臨床応用
Project/Area Number |
23658257
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 耕太 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (50283974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 睦 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (00183179)
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Keywords | エキソソーム / 赤血球 / ラフト / コレステロール / 犬 / 遺伝性疾患 |
Research Abstract |
エキソソームは網状赤血球の成熟過程で最初に見出された40-100 nmの膜小胞で、不要な膜蛋白質を除去する役割を担う。エキソソームはさまざまな疾患の発症過程に関与することが知られるようになり、各種疾患の診断や治療へのエキソソームの応用が期待されている。しかし、エキソソームの構成成分を決定するための分子機構については未だに不明な点が多く、その解明が臨床応用のための大きな課題となっている。そこで、遺伝的に網状赤血球成熟過程でエキソソーム形成異常を呈する遺伝性高Na,K-ATPase赤血球(HK型赤血球)を持つ犬のHK型赤血球について、その産生機序を明らかにすることを目的に、これらのエキソソーム組成を比較した。HK型赤血球はラフト関連蛋白質であるstomatinの発現レベルが高く、エキソソーム放出過程がラフト形成の異常により生じることが明らかになった。また、この過程を司る因子として細胞内コレステロールレベルに差異があることを明らかにし、赤芽球から成熟赤血球への成熟過程におけるコレステロール代謝異常が本形質発現の主要な原因であることが明らかとなった。 一方で、HK型赤血球で発現動態に影響が見られるグルタミン酸トランスポーターGLASTの発現が、PDZドメイン蛋白質NHERF1および2により調節されることを明らかにした。NHERF蛋白質のPDZドメインはコレステロール結合能を有することから、グルタミン酸トランスポーターを含む各種膜蛋白質の発現レベルもまた、細胞内コレステロール代謝の差異に起因するラフト形成およびエキソソーム放出系の変動により調節されることが示唆された。今後、さらに細胞内コレステロール代謝調節に関与する分子を同定することにより、エキソソーム放出系の調節機構が明らかになり、その臨床応用の方法の開発に寄与するものと期待される。
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Research Products
(4 results)