2011 Fiscal Year Research-status Report
レトロウイルス発現ライブラリーを利用したイヌ肥満細胞腫新規腫瘍化メカニズムの解析
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23658260
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大森 啓太郎 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20466915)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 肥満細胞 / 腫瘍 / レトロウイルス |
Research Abstract |
本研究の目的は、イヌにおいて多発する肥満細胞腫の新規腫瘍化メカニズムを、レトロウイルスcDNA発現ライブラリーを用いた腫瘍化遺伝子スクリーニング法を応用することで、網羅的かつ効率的に解析することである。本年度は、レトロウイルスcDNA発現ライブラリー法をイヌ肥満細胞に応用するために以下の実験を行った。1.イヌ骨髄由来肥満細胞培養方法の確立: 造血幹細胞および血液前駆細胞のマーカーの1つであるCD34を指標に、正常犬から採取した骨髄細胞中のCD34陽性細胞を磁気細胞分離法を用いて分離した。その結果、90%以上の精製度でCD34細胞を分離することができた。分離したCD34陽性細胞を、イヌ組み換えstem cell factor(cSCF)存在化で4週間以上培養することで、イヌ骨髄由来肥満細胞を培養することに成功した。2.レトロウイルスの作製: パッケージング細胞株に、水疱性口内炎ウイルスのエンベロープ糖タンパクプラスミド(pVSV-G)とGFP発現プラスミドを遺伝子導入して、イヌの細胞にも感染可能なGFP発現レトロウイルスを作製した。接着細胞を用いてレトロウイルスの感染効率を算出した結果、高力価のウイルスを作成することに成功した。現在、上記イヌ骨髄由来肥満細胞へレトロウイルスを感染させ、最適感染時期および感染効率を調べている。3.cDNAライブラリーの作製: c-kit遺伝子に変異を有するイヌ肥満細胞腫細胞株およびc-kit遺伝子に変異を認めないイヌ肥満細胞腫細胞株からRNAを抽出し、レトロウイルスcDNA発現ライブラリーを現在作製している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高純度のイヌ骨髄由来肥満細胞の培養方法を確立するのに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 腫瘍化クローンの選択・増殖: イヌ骨髄由来肥満細胞にレトロウイルスを感染させた後、cSCFの非存在下で限界希釈法またはメチルセルロース培地で細胞を培養し、腫瘍化クローンを選択・増殖させる。2. cDNAライブラリー(レトロウイルス発現ライブラリー)由来遺伝子の増幅・同定: 得られた腫瘍化クローンからゲノムDNAを抽出し、アダプター配列特異的プライマーを用いて再度PCRを行う。DNAシークエンサーによりPCR産物の遺伝子配列を決定し、遺伝子データベースと比較することで、遺伝子の種類および変異の有無を解析する。3. 腫瘍化の再現および腫瘍化原因遺伝子の特定: In vitroおよびin vivoの評価系により、肥満細胞の腫瘍化を再現し腫瘍化原因遺伝子を決定する。In vitroにおいては、目的遺伝子をクローニングし、再度レトロウイルスを用いてイヌ骨髄由来肥満細胞に遺伝子を導入する。cSCFの非存在下で遺伝子導入した肥満細胞を培養することにより、肥満細胞の腫瘍化を評価する。In vivoにおいては、目的遺伝子を導入した肥満細胞をヌードマウスに接種し、腫瘍形成の有無を評価する。4. 臨床サンプルの解析: イヌ肥満細胞腫の臨床サンプルにおいて、新たに同定された腫瘍化原因遺伝子の発現およびその変異を解析すると同時に、c-kit遺伝子の変異の有無、肥満細胞腫の病理学的グレードおよび症例の予後についても調べる。これらを総合的に評価することにより、肥満細胞腫における腫瘍化原因遺伝子の臨床的重要性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の多くは、in vitroおよびin vivoの実験のために必要な試薬や実験器具などの消耗品購入にあてる予定である。本研究においては、イヌ肥満細胞腫からcDNAライブラリーを作製し、レトロウイルスを用いて正常なイヌ骨髄由来肥満細胞に遺伝子導入後、腫瘍細胞への形質転換を起こさせる。そのため消耗品費を用いて、細胞培養試薬、遺伝子・タンパク質発現解析用試薬、遺伝子導入用試薬、腫瘍細胞同定・分離用抗体などを購入する予定である。本研究においては、イヌおよびマウスを用いた研究が必須であるため、研究費の一部を実験動物の購入および維持・管理費として計上する。また、研究効率を上げるため、実験補助謝金を用いて、実験補助者に実験動物の管理補助および研究実施補助を依頼する予定である。さらに、得られた研究成果を広く一般に公開するために、研究費の一部を学会発表のための国内および外国旅費として計上する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Glucocorticoid sensitivity depends on expression levels of glucocorticoid receptors in canine neoplastic mast cells2011
Author(s)
Matsuda A, Tanaka A, Amagai Y, Ohmori K, Nishikawa S, Xia Y, Karasawa K, Okamoto K, Oida K, Jang H, Matsuda H.
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Journal Title
Vet. Immunol. Immunopathol.
Volume: 144
Pages: 321-328
Peer Reviewed
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