2012 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルス発現ライブラリーを利用したイヌ肥満細胞腫新規腫瘍化メカニズムの解析
Project/Area Number |
23658260
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大森 啓太郎 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (20466915)
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Keywords | 腫瘍 / イヌ |
Research Abstract |
本研究の目的は、イヌにおいて多発する肥満細胞腫において、c-kit遺伝子の特性を解析するとともに、転移、再発および腫瘍化メカニズムをレトロウイルスcDNA発現ライブラリーを用いた腫瘍化遺伝子スクリーニング法を応用することで、網羅的かつ効率的に解析することである。 1.イヌ肥満細胞腫におけるc-kit mRNA全長の塩基配列解析: 肥満細胞腫19症例および肥満細胞腫細胞株2種類の計21検体を用い、c-kit遺伝子全長の塩基配列を解析した。c-kit遺伝子の主要な変異であるエクソン11の変異は5検体(23.8%)で認められ、他の部位におけるアミノ酸置換を伴う点突然変異は4検体 (19.0%)で認められたが、残りの12検体(57.1%)においてはアミノ酸置換を伴う変異は確認されなかった。解析した症例の半数以上でc-kit遺伝子の変異が確認出来なかったことから、c-kit遺伝子の変異以外の肥満細胞腫瘍化機構が存在することが示唆された。 2.肥満細胞種の転移・再発メカニズムの解析: 肥満細胞腫12症例において、末梢血液中の循環肥満細胞を細胞表面マーカーを用いて高感度に検出した。その結果、4症例(33.3%)において末梢循環肥満細胞が検出され、治療により細胞数の変動が認められた。 3.イヌ骨髄細胞および骨髄由来肥満細胞へのレトロウイルス感染: イヌ骨髄細胞を分離し、骨髄由来肥満細胞を培養した。分離後の骨髄細胞および骨髄由来肥満細胞に初年度に作成したレトロウイルスを感染させたが、ほとんどの細胞に対し遺伝子導入が認められなかった。一方、肥満細胞腫細胞株に対しては、約20%の細胞においてレトロウイルスによる遺伝子導入が認められた。これらの結果から、イヌ骨髄細胞および骨髄由来肥満細胞に対しては、レトロウイルスよりもレンチウイルスを用いた遺伝子導入の方が効率的である可能性が考えられた。
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Research Products
(9 results)