2012 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球の皮膚離脱関連分子に着目した上皮向性リンパ腫に対する革新的治療概念の構築
Project/Area Number |
23658261
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
前田 貞俊 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (50377694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 早苗 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (20588917)
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Keywords | 癌 / トランスレーショナルリサーチ / 獣医学 / 遺伝子 / 内科 |
Research Abstract |
平成24年度に実施した研究の成果: 全血における遺伝子転写プロファイルの解析結果をもとに、末梢血におけるCD4細胞割合、CD8細胞割合およびCD4およびCD8細胞におけるCCR4およびCLAの発現について評価した。しかしながら、上皮向性皮膚型リンパ腫(CTCL群;n=15)および健常犬(Healthy群;n=15)において、上記の分子発現に関する有意差は認められなかった。また、昨年度に引き続き、CTCL病変部に存在するリンパ球の株化を試みたが、皮膚表面に付着していたと思われる細菌または酵母の混入により、株化には至らなかった。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果: 上皮向性皮膚型リンパ腫の病態においては、皮膚指向性を誘導する特異的な分子メカニズムが関与しているという仮説にもとづき、CTCLの皮膚病変部におけるケモカインおよびケモカイン受容体の遺伝子転写レベルをリアルタイムRT-PCRによって定量した。また、集積する腫瘍化リンパ球のサブセットを検討するために、タイプ1、タイプ2サイトカインおよび細胞傷害性因子の遺伝子転写レベルを定量した。その結果、cECLの皮膚病変部におけるCCL19、CXCL10、CCR4、CCR7、CCR10およびCXCR3の転写レベルは正常皮膚におけるものに比較して有意に高値を示した。また、cECLの皮膚病変部におけるタイプ1サイトカインおよび細胞傷害性因子の転写レベルは正常皮膚と比較して有意に高値を示した。これらの結果から、cECLの皮膚病変部では、皮膚指向性、上皮向性およびリンパ節のホーミングに関与するケモカインおよびケモカイン受容体の発現が亢進していることが明らかになった。さらに、集積する腫瘍化リンパ球のサブセットはタイプ1細胞傷害性T細胞である可能性が示された。
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