2012 Fiscal Year Research-status Report
黄砂は病原性ウィルスの「長距離の運び屋」として機能しうるか?
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23658270
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森尾 貴広 筑波大学, 国際部, 准教授 (10292509)
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Keywords | 黄砂 / 病原体 / 微環境 / 緩衝作用 |
Research Abstract |
実験室内での黄砂飛来時の黄砂粒子周辺の微環境の再現系の確立においては、昨年度より引き続き、黄砂と類似の粒径および密度を持つ2種類のモデル微粒砂を用いて、フラスコ中に投入した微粒砂を撹拌子で浮遊させ、温度、気圧の調節および飛来途中における大都市圏通過に伴う環境汚染物質の混入をフラスコ中に当該物質溶液を注入することにより再現する系の開発・改良を行った。 一方、蛍光プローブを用いた砂粒子周辺のイオン強度、pHを中心とした微環境測定の条件検討を行い測定系の確立については、微粒砂サンプルの周囲に蛍光プローブと共にいくつかの種類の油脂を滴下することによって、粒子周辺の溶液が拡散しないように固定した条件下で、蛍光による測定法の検討を行った。現在、検出感度、特異性の面で依然として問題があるため、解決を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
蛍光プローブを用いた砂粒子周辺のイオン強度、pHを中心とした微環境測定の条件検討を行い測定系の確立を目指したが、条件検討の予備実験において、一部の塩濃度などの環境パラメータの測定法が感度、特異性の面において大きな改良の必要性があることが判明し、当該年度における当初の研究計画の完了が難しくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
口蹄疫ウィルスほか黄砂で伝播する病原体の生存・活性の維持には特にpHが大きな影響を及ぼすため、蛍光プローブによる砂粒子周辺の微環境測定についてはpHの測定に重点を絞り、蛍光プローブ種、その組み合わせのおよび検出法の更なる検討を行い、実際の試料の解析な可能となる条件の確立を行いたい。 一方フラスコ内での黄砂飛散の再現系を用いて、モデルとなる微生物、ウィルスの飛散実験を行い、生物的活性を保持するかを検証する系の確立も併せて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は、砂粒子周辺の微環境測定系の確立のために、蛍光プローブおよび関連試薬類を中心とした必要な消耗品購入のために、フラスコ内での黄砂飛散実験においては、モデル微粒砂、モデル微生物・ウィルスの培養用試薬・消耗品の購入に経費を充当する予定である。
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